鼻ちょうちんの漫画表現はなぜ生まれた?チコちゃん
25年3月14日放送の「チコちゃんに叱られる」の問題『寝ているといえば鼻ちょうちんなのはなぜ?』の答えなどまとめてご紹介。
ゲスト出演者
【ゲスト】高畑淳子、寺田心
【VTRゲスト】オーサ(漫画家)、モクタン(漫画家)
寝ているといえば鼻ちょうちんなのはなぜ?
1問目の出題は、
なんで寝ているといえば鼻ちょうちんなの?
チコちゃんの答えは、
昔は寝ている時によく鼻ちょうちんを出していたから
解説はJCHO東京新宿メディカルセンターの石井正則先生。
鼻ちょうちんの元となる鼻水は鼻の中にある鼻甲介と呼ばれるヒダが熱い空気や異物などの刺激を受けて分泌される粘液の事で、吸い込んだ空気の温度を下げたり、花粉など体内に侵入した異物を外に出す働きがあったり。
こういったケースで出て来る鼻水は大体がサラサラしたもので、その一方で鼻の奥にある副鼻腔の粘膜が細菌に感染して炎症を起こした際にはドロっとした鼻水が外に出てくることに。
炎症の刺激によってムチンという物質が分泌されることで鼻水に粘り気がプラスされて世間一般で言う「青っぱな」に。
また、副鼻腔の炎症が慢性的に続くと粘膜がキノコ状に腫れあがって喉に繋がる気道を狭くしてしまうので鼻づまりが発生。
すると自然と口呼吸が増えるわけですが、日中は意識して口を開ける事で問題ありませんが、これが寝ている時となると口が閉じ気味になってしまうので呼吸は口以外に鼻を通って外に出ていくことに。
スポンサーリンクこの時に鼻を通って出ていく空気によってドロっとした鼻水を徐々に押し出して鼻の出口付近で膨らんで鼻ちょうちんが誕生。
ここからは鼻ちょうちんが描かれがちな漫画についてトピックが一旦移りますが、戦時中に途絶えていた漫画文化が復活し始めたのは1947年頃の事で当時の一般的な一日の食事量は1000kcalほどで食べられる食材もとても質素。
栄養価の高い肉の消費量は戦後20年経った1965年時点でも欧米に比べて圧倒的に少ないという食事情。
現在の日本では栄養のある物が食べられるので免疫力も高く保たれ、薬もすぐ手に入る環境が整っているのでドロドロした鼻水が出るほどまで症状が悪化する事は無くなりましたが、昔の人はそうではないので青っぱなによる鼻ちょうちんをよく作っていて、そこから漫画でも鼻ちょうちんを描くのが自然だったと石井先生。
食環境の改善には学校給食も大きな働きを果たしていて、1889年に山形県の小学校で始まったとされる給食ですが、普及率の統計をとり始めた1959年時点でその普及率は小学校で45%、中学校に至っては13%という状況。
その為に戦後にマンガが復活し始めてから約10年間は栄養失調の日本人が多く、寝ている時に鼻ちょうちんを出すのはよくある光景だった可能性。
一方で1969年まで時代が進むと給食普及率は小学校で96%、中学校で84.5%と大きくアップ。さらに社会全体の食環境の改善や医療の進歩もあって青っぱなを垂らす人は劇的に減少。
恐らく昔から栄養価の高い肉を食べていた欧米人はそもそも鼻ちょうちんを知らないのではないか?と石井先生。
スポンサーリンクこれを踏まえて日本に来て漫画家になった外国人を対象にインタビューを行ってみると「日本の漫画以外で鼻ちょうちんは見た事が無かった。」「鼻ちょうちんは日本の漫画にしかないと思う。」という答え。
ちなみに日本の漫画表現で、ギャグパートになると途端にデフォルメキャラに変身したりというシーンは海外のコミックではまず見ない独特のものだとか。
京都精華大学の田中圭一教授によると、このデフォルメは1976年に連載が始まった「青い空を、白い雲がかけてった」の作者あすなひろし先生が取り入れた手法だそうで、真面目なシーンとギャグパートを織り交ぜた作品に合わせてキャラクターの見た目を変えるというテクニックを編み出したとか。
その後、1981年にたがみよしひさ作「軽井沢シンドローム」でキャラクターのデフォルメが広く認知されるようになったとの事。
続いてセクシーなシーンを見ると鼻血を垂らしたり、吹き出したりという漫画表現も日本独特のもので、これは1970年代に活躍したギャグ漫画家の谷岡ヤスジ先生が描いたシーンが発端だったり。
ちなみに乳児や幼児は今でも鼻ちょうちんを作ることがありますが、子どもが小さいうちは鼻の奥にあるアデノイド(扁桃腺)が大きくて、軽い風邪の症状でも腫れやすいので、鼻の気道が詰まりやすく、鼻ちょうちんが出来やすいという特徴があるとか。
10歳頃からアデノイドが小さくなり始めて、成人の頃にはかなり小さくなるので成長するにしたがって鼻ちょうちんが出来ない体になっていくとの事。
という事で1問目は以上。
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