糖質制限の落とし穴。あなたは強迫症になっていませんか?
ダイエットや健康増進を目的として、正しい食事を摂ることは間違いなく効果的で、常に健康的な食事を摂り、ジャンクフードを避け、最近のトレンドである糖質制限を行っている人は多いのではないでしょうか?しかし、それも極端に走りすぎると健康的とは言えないばかりか、重大なリスクを招く場合さえあります。ここでは糖質制限による強迫症の発症についてご説明します。
スポンサーリンク健康的な食事が行き過ぎる時
食事に関する精神的な症状はギャンブルや飲酒、運動などと同様に結構な頻度で起こり、「強迫観念」を生み出しがちです。糖質制限を実践する事は結構ですが、実践者の中でも健康的な食事と不健康な強迫観念の区別がつかなくなってしまっている場合があります。
このような症状の事を「オルトレキシア ネルボーザ」(orthorexia nervosa)と呼び、その意味は「正しい食事を摂ることに固執する神経症」です。
食事が現実の生活からの逃避の手段になってしまった時に、それは摂食障害の一つとして考えられます。オルトレキシア ネルボーザは医学的な診断名ではありませんが、こうした症状や食事に関するその他の強迫観念(拒食、過食)は、日常生活の質を落とす原因となります。
糖質制限を実践するにあたり、計画を立て、食材を買い、調理し、食べるといったプロセスに熱心に取り組むことは構いませんが、それに生活の大部分が支配されるようになると話は変わってきます。
摂食障害の中でも拒食症や過食症では食べ物の「量」が問題になってくるのに対して、オルトレキシア ネルボーザでは食べ物の「質」に対して固執してしまうという性質があります。
このような強迫観念が進むと、本来であれば体に必要な栄養素を含む食べ物であっても避けるようになってしまい、結果として健康問題を抱えるようになります。
本人としては自分が問題を抱えているとは気づいておらず、むしろ、健康的な食事しか摂っていないのだから、調子が良くなると信じ込んでいるところにその恐ろしさが潜んでいます。
極端なルールではなく気楽に
健康への意識が高い人は特に食事に関しても注意を払っているケースが多いですが、普段からの意識付けで「もっとゆるいルール」で「気楽に」実践する事が最も簡単な自己防衛の手段です。あくまで食事は楽しむものである事を一度再確認しておきましょう。
これは何も糖質制限を行っている人だけでは無く、トレーニングの一環として食事に気を使うアスリートにも当てはまります。アスリートの中には食事を楽しめず、単にトレーニングを支えるためだけのものになってしまっているケースが多く見られ、固定したメニューを延々と繰り返しているだけという事もありがちです。
そんなアスリートにあっては、例えば錠剤一つで全ての栄養素をまかなえるようなサプリメントが開発されたとしたら、それで一向に構わないと思うかもしれませんが、食事はもっと楽しむべきものです。
その為には、時としてラーメンやピザ、ハンバーガーなどの糖質制限の大敵のように語られるような食事を摂る事が重要です。たまにであればスイーツを食べてしまってもOKです。
豪快に糖質を摂りすぎた日があったとしても、それで今までの努力が無になるわけではありません。大抵の場合はカウンセリングも栄養士に相談することも必要ではなく、少し考え方にゆとりを持つだけで大丈夫なのです。
週に1回や2回程度の何でも食べていい日を設けて、気楽に食事と向き合うことが長期的に見て最も健康的なアプローチと言えるでしょう。