クロフォードvsブルック戦は“PFPキング”の右が効いた!サウスポースイッチがポイントに?
テレンス・クロフォード vs ケル・ブルックの一戦はサウスポースイッチを巧みに使ったクロフォードの右が効果的に作用して圧巻の4回TKO勝利という結果に。ポイントになったのは3回終了間際に放ったクロフォードの右フック。そこから怒涛の展開になったわけですが。
ブルックの攻勢
【1R、2R】
1、2Rでは、クロフォードがオーソドックスの構えで戦ったせいもあって、
距離を早めに掴んだブルックのジャブがよく当たり、僅かながらブルック優勢のまま展開。
恐らく序盤2回の採点はブルックへ10点。
パンチカウントを見てみると、
※上がクロフォード、下がブルック
放った手数は両者ともあまり変わらないものの、当てた数、パーセンテージ共にブルックがリード。
サウスポースイッチ
【3R】
そのままの流れで行くかと思いきや、
そこは試合巧者のクロフォードがお得意の“スイッチヒット”で一気に戦局を引き寄せる事に。
2Rの残り30秒ぐらいからサウスポーに変更したクロフォードでしたが、
3Rになると左右を利き手のように自在に操るクロフォードがサウスポーに本格的にスイッチ。
そうした理由としては、
- オーソドックスではリズムがなかなか掴めなかった
- ブルックの左ジャブに合わせて右フックを出す事でブルックのジャブを封じる狙い
以上の2点。
このスイッチが功を奏してブルックの左ジャブを封じる事に成功。
相手の左ジャブに対して右フックを合わせるこの戦術は、ある意味サウスポースタイルの定石とも言える一種の武器で、例えばパッキャオなどが好例。
左ジャブを放って来た相手に対して反時計回りにステップして右フックを合わせるこのムーブ。
結果、左ジャブが出せなくなったブルックは急速にリズムを失っていき、もはや思考停止のような状態に。
そしてこの試合で有効打となったパワーパンチが飛び出したのが3Rのゴング間近。
クロフォードが放った右フック。
ここは少なからずブルックにダメージがあったハズ。
TKO決着
【4R】
完全に試合を流れを自分の物としたクロフォードが一気に攻勢。
サウスポーにスイッチされてからずっとリズムが狂っていたブルックのジャブに対して強烈な右フックでロープまでふっ飛ばした所でほぼ勝利は目前。
👑 LEFT NO DOUBT 👑@terencecrawford stuns Kell Brook with a big right hand and wastes no time closing the show in Round 4. Goodness … #CrawfordBrook pic.twitter.com/pvD56GdSdL
— Top Rank Boxing (@trboxing) November 15, 2020
違う角度からの映像だと、
Elite closers, ranked:
That’s the list. #CrawfordBrook pic.twitter.com/DOJWCCR8BC
— Top Rank Boxing (@trboxing) November 15, 2020
このクロフォードの右はフックなのかジャブなのか意見が分かれる所ですが。
スタンディングダウンを取られた所でもしっかり意識は保っていたブルックでしたが、
再開するとクロフォードの左右に振り回すフックをもらって万事休す。
きっちり追撃で仕留め切ったクロフォードは流石という詰め方。
この他にもクロフォードは長谷川穂積のようなカウンターも数多く仕掛けていて、
この左を軽く出して右のロングフックを思い切り振る動きもクロフォードは効果的に使用。
総評
全体としてクロフォードの試合巧者ぶりが遺憾なく発揮されたそんな試合で、往年のバーナード・ホプキンスを彷彿とさせる充実ぶり。
相手の嫌がる所を徹底的に突いて行く抜け目のないファイトスタイルとそれを可能にするスイッチという高い技術。
通常はスタイルをスイッチをするとどうしても戦力が落ちてしまうところが、クロフォードの場合は完璧に両利きを操るせいで右でも左でも遜色なく強いというのは驚異的。
スピードもパワーもあって、さらにこの厄介なスイッチヒッターとなればPFPのトップコンテンダーとして高い評価を受ける理由も納得。
ブルックとしてもクロフォードのサウスポー対策はしっかり練っていたハズで、クロフォードのサウスポースイッチに対して右をジャブのように使って対応を試みてはいたが・・・。
一度失ってしまったリズムを取り戻す前にクロフォードの右を浴びた事で終わってしまった感。