ジロジロ有吉 「進撃の巨人」編集者が作者に怒られる…と言いながら語った伝説の16文字の意味は?
21年3月20日(19日深夜)放送のTBS系「有吉ジャポンII ジロジロ有吉」に漫画『進撃の巨人』編集者がVTR出演し、作者・諫山創の「絵が下手」とハッキリ明言しつつテレビ初公開で明かしたのが“伝説のアオリ16文字に隠された本当の意味とは?”という裏話。
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伝説の16文字
伝説の16文字が誕生したのは2009年「進撃の巨人」連載開始時の事。
別冊少年マガジンの当時の見開きページを見てみると、
というあおりコピーが。
当時、無名の新人作者にしか過ぎなかった諫山創の才能に言及した、読者に対する挑発的なこの文章。
このページ構成を考えた「進撃の巨人」編集者である川窪慎太郎さんにお話を伺うと、
川窪「こんな初連載に『この才能は本物か!!?』とか『漫画読みに問う』みたいなちょっと生意気なアオリだと思うんですけど、漫画が好きな漫画読みの方たちからしたら『ナンボのもんかちょっと読んでやろうじゃないか』『俺たち、私たちのお眼鏡にかなうかな?』みたいな気持ちで読む人もいたと思うんですけど。」
「こき下ろされても、それはそれで話題になるかなと思って。」
漫画ファンにあえて挑戦状を叩き付けるような過激な文章で賛否両論を巻き起こすのが狙いだったと。
諫山創先生にとってデビュー作となった進撃の巨人ですが、同じく川窪さんにとっても編集者デビュー(チーフとして)を飾ったこの作品でSNSを使った炎上商法的なアプローチを2009年に仕掛けていたというわけですね。
この戦略は見事にハマって話題作りに貢献したとか。
絵が下手だったから?
そしてこの見開きを作ったのにはもう一つの理由があるそうで、
川窪「自分の中にあってですね、これ実は諫山さんにもまだ言ったことが無いというか。笑。これ諫山さんが見ていたら怒られちゃうかもしれないですけど。」
そう躊躇しながらも明かしてくれた秘密というのが、
「実はこんだけ文字を大きくしたのは、文字で下の絵を隠すためでした。」
「これは原稿を諫山さんから頂いた時にちょっとね…笑。絵が汚いなっていう。」
下の絵をアップで見てみると建物の絵はかなりラフというか適当。
連載開始から数年に渡ってファンの間でも度々話題になっていたこの「進撃の巨人は絵が下手」というこのトピック。
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コチラは川窪さんのデスクに保管してあるという「諫山創が19歳の時に描いた生原稿」。
2007年ごろに講談社に持ち込みをした時の初期の進撃の巨人。
持ち込みの連絡があった際に新入社員だった川窪さんがたまたま電話番をしていたという巡り合わせ。
漫画業界では伝統的にこうやって作者と編集者のコンビが決まるというのはよく知られていますよね。
川窪「スゴイ作品・スゴイ人に出会ってしまったなぁ…。という感覚はありました。」
それでもやっぱり気になったのは、
「どうしても線がキレイじゃないというか。ふにゃふにゃしてるというか。」
「こことかもそうですよね。線をはみ出してるじゃないですか。」
「繋がってないとことか。突き出てるとことかあるんで。」
コチラは「人類VS巨人」といういわば進撃の巨人プロトタイプ的作品。
マガジンデビュー 作者と編集者の距離が一番近い漫画投稿サイト:進撃の巨人 人類VS巨人
圧倒的にストーリーは面白くても、絵のスキルが足りていないと感じた川窪さんが諫山創先生にお願いしてやってもらったのが、
他のプロ漫画家さんの原稿をひたすら模写するという上達方法。
ボクシング漫画「はじめの一歩」やラブコメ漫画「涼風」を模写したりと2年に渡って基本的な絵のスキルアップに励んだという諫山創先生。
これによってキャラクターの輪郭や背景を一から勉強。
持ち込みの初期型巨人から比べるとかなり絵柄が変化しているのが分かりますね。
怪物感が強かったものが、妙に人間っぽい不気味な姿に。
無表情だったものに表情を付け加える事で人間的な恐怖を表現する事に成功。
こうして先ほどの2009年初連載を迎えたのですが、
川窪「(建物の)絵が汚いなぁ…と。笑」
2年の修業を経てもやっぱりどこかで絵の下手さは出てしまうようで、出来上がった決定稿に納得がいかなかったという川窪さん。
そこで編み出したのが苦肉の策として大きなアオリで絵をカバーしてしまえとそういうわけだったんですね。
以上、進撃の巨人・伝説の16文字が生まれたきっかけについてでした。