チコちゃんに叱られる ピアノが黒いのはなぜ?理由は日本の湿気&格式の高さ?
21年11月19日放送のNHK「チコちゃんに叱られる!」の第1問は『ピアノが黒いのはなぜ?』という問題。答えは日本の漆塗りがその元祖で、湿気対策としてピアノが黒くコーティングされたからだそう。さらに格式が高いからという理由で黒色が選ばれたなんてエピソードを秋川雅史さんのチコっとリサイタルと共に。
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【ゲスト】若槻千夏、山下健二郎
【VTRゲスト】ピアニスト 大嵜慶子、秋川雅史
ピアノが黒いのはなぜ?
この日のゲストは初登場で「3代目J SOUL BROTHERS」呼びの山下健二郎さんと、
オリジナルメンバーの「ちなっちゃん、若チコ千夏」こと若槻千夏さん。
オリジナルメンバーになると特別な呼び名がチコちゃんから授けられるという新設定。
というわけで早速1問目の指名は、
この中で一番、楽器に詳しいステキな大人ってだーれ?
ここはアーティストという事で山下健二郎さんが回答者に。
出題されたチコちゃんの疑問は、
ピアノってなんで黒いの?
当時は黒い色しか無かったからという答えですが、
チコちゃん「ボーっと生きてたらアカンで!」
岡村「えらい関西弁で叱られたで。笑」
というわけでチコちゃんの答えは、
日本がジメジメしているから
解説はピアノメーカーの河合楽器でピアノの歴史について研究しているピアノ研究所の三浦広彦さん。
そもそもピアノという楽器は約300年前のイタリアで誕生したもので、イタリアの楽器製作者だったバルトロメオ・クリストフォリが1709年にピアノの原型となる楽器を発表したのがその元祖。※年代については諸説あり
ちなみにその当時の見た目は木の木目がそのまま見えるスタイル。
このように初期のピアノの多くは黒では無く木目を生かした茶色が主流で当時のヨーロッパで描かれたピアノの絵を見てもそのほとんどが木目の色。
スポンサーリンクそれが現代のように黒くなったきっかけはズバリ日本のピアノ作りがその発祥なんだとか。
日本にピアノが伝わったのは江戸時代で、鎖国中にあって例外的に貿易を続けていたオランダの陸軍医シーボルトの手によって持ち込まれたというのが有力な説。
その日本に初上陸したピアノの色は?というとやっぱり木目。
その後時代がぐんと進み1900年になると日本でもピアノの生産がスタート。
ここで始まるのが「チコっとリサイタル ~黒いピアノの秘密~」。
ピアノ演奏はピアニストの大嵜慶子さん。
演奏をバックに歌い上げるのは秋川雅史さん。
「彼の体を黒く染めたのは日本の漆~♪」
日本はヨーロッパに比べて湿気が多くジメジメした気候なのは周知の事実で、
ピアノの木材が湿気を吸ってしまうと変形して音色にまで悪影響が出てしまうという事で日本のピアノには湿気対策が必要だったわけですが、その対策として取り入れられたのが漆塗り。
漆は木の樹液を原料とする天然塗料ですが、湿気対策として古くは縄文時代から利用されていたという長い歴史があったり。
塗料としては顔料を混ぜて黒や赤にして使われるのが一般的で、ピアノの外側を黒い漆でコーティングして湿気から守るという対策が日本製のピアノでとられるようになったとの事。
例えば漆塗りのピアノはこんな具合で1928年製の河合楽器の漆塗りピアノ。
また、赤では無く黒が選ばれた理由としては「格式が高いから」というのが理由の一つ。
初期のピアノは非常に高価な楽器で一般家庭にはほぼ普及せず、ピアノの設置場所といえばもっぱら学校が中心。
一般的な西洋音階が入って来る前の日本の音楽では「ドレミソラド」というファとシが抜けた音階が使われており、
日本が西洋諸国と付き合っていく中、文化教育という観点から「ドレミファソラシド」の西洋音階を身に付けるべく、学校では先生が弾くピアノ伴奏で歌う教育がなされるように。
こんな具合で日本におけるピアノとは「教材」の一つと捉えられていた所があったのでより格式の高い「黒色」が選ばれたというのが三浦さんの見解。
こんな経緯で黒くなったピアノですが、それ以前の木目のピアノでは表面の木目模様がしっかり繋がるように素材を厳選して使用されていたのに対し、黒く塗ったピアノではその手間が省けるのでピアノの生産効率アップ&生産コストダウンというメリットも生まれたとの事。
これが戦後になると日本の教育方針が大きく変わり、小学校の音楽の時間に生徒にも鍵盤楽器を演奏する事が求められるようになると、この変化を受けて家庭でもピアノの需要は急激に拡大し、日本におけるピアノの普及率は世界的に見ても高い水準に。
実は学校内で行われる合唱コンクールで各クラスにピアノ伴奏できる生徒が最低一人はいるという日本では当たり前の環境は日本以外の国ではまずあり得ないと三浦さん。
このようにして日本のピアノはどんどんその存在感を増し、1965年にはヤマハがピアノ生産台数世界一に。
こうなると世界一のピアノ国となった日本で作られるピアノは海外にも大量に輸出されるようになるわけで、そこで黒く塗られたピアノは世界でも重宝されることに。
先ほど挙がっていた黒くする事で生産効率がアップするという利点や表面がコーティングされているので少々の傷がついてもすぐに修理が出来るといった利点などが手伝って黒いピアノが世界的にスタンダードな存在に。
というわけでコチラが結論。
ピアノが黒いのは日本がジメジメしているから
でした。
これから世界で認められる日本の技術は?という質問には「この子は出世するやろな~って感じるADさんの前説。」とチコちゃん。どのスタジオ収録の現場かは分かりませんが。
最後に塚原愛アナから補足。
実は欧米でも日本のピアノが広まる前から一部で黒いピアノは既にあったそうですが、世界中で黒いピアノが主流になったきっかけは間違いなく湿気対策として漆で黒く染められた日本のピアノの生産量が世界一となって海外輸出されるようになったという出来事が大きいとの事。
ということで1問目は以上。
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