墨の原料はなに?チコちゃん
24年1月5日放送の「チコちゃんに叱られる 新年拡大版SP」の問題『習字に使う墨ってなに?』の答えを簡単にまとめてご紹介。
ゲスト出演者
【ゲスト】佐々木蔵之介、町田啓太、板谷由夏
【VTRゲスト】なし
習字に使う墨ってなに?
3問目の出題は、
習字に使う墨ってなに?
チコちゃんの答えは、
すすをにかわで固めたもの
解説は京都芸術大学の青木芳昭教授。
すすはロウソクを灯したり、薪を燃やした時などに出るあの黒い汚れのようなものでイメージしやすいですが、
一方のにかわは牛や鹿などの皮を煮る事で出来るコラーゲンがその正体で「膠=煮皮」という漢字をあてたり。
皮を煮詰める事で液体状になって抽出され、それを冷やして乾かすと固形状に。もともと液体状なので熱を加えると固形から液体に変化。
このにかわは水とすすを混ぜる時に重要な役割を担っていますが、試しに水とすすだけを混ぜてみるとどれだけかき混ぜても水とすすは分離したまま。
透明な水の上にすすが重なっているだけですよね。
すすはロウソクなどに含まれる油分がもとになって出来ているものなので油と水は溶けにくいのでこんな状態に。
ここに液体のにかわを混ぜてみると見事に混ざり合った水とすす。
細かいすすの粒一つ一つがにかわによってコーティングされ、にかわは水と馴染みやすい性質を持っているので水全体にすすが広がって行く事に。
日本で作られる墨には大きく分けて「松煙墨(しょうえんぼく)」「油煙墨(ゆえんぼく)」の二つがあり、
松煙墨は松の木から取れるすすを使った墨で、油煙墨は植物油から取れるすすを使った墨という違い。
松煙墨の方は非常に古い歴史を持っていて、現代の日本において伝統的な製法で松煙墨を作っているのはたった一人で堀池雅夫さんという墨職人がその人。
材料として使うのは赤松で赤松を細かく割ると約2m四方の部屋の下でひたすら燃やし続けること約2週間。
2週間が経つと部屋の中は壁一面すすだらけ。これらをこそぎ落して集めると松煙墨の原料に。
にかわには独特の臭気があるので少量の香料を混ぜつつ、すすとにかわを一緒によく練り、木型にはめて乾燥処理。
急激に乾かすと割れてしまうのでその乾燥期間は5~6年という歳月をかけてゆっくり乾かして伝統的な松煙墨が完成。
片手で持てるサイズの松煙墨を作るのに5kgの赤松が使われているそうで価格は2万5000円ほど。ちなみに墨を数える時の単位は「丁」。
一方で油煙墨は植物性の油を燃やしてすすを採集するという方法で、あとの工程は松煙墨とほぼ同じ。
松煙墨は実際に書にすると青く見えるので青墨とも呼ばれ、一方で油煙墨は黒みの強い深い黒が特徴で淡くすると茶色く見えるという特徴。
ちなみに墨で書かれたものは劣化しにくくて長持ちするという特徴も。
一般的なボールペンのインクは染料と呼ばれ、これらは紙に色素を染みこませるのに対して、墨などの顔料は紙の上にぺったりと色素を定着させるという違い。
染料は紙に染み込むので紙の劣化と共に書かれたものも一緒に劣化していきますが、顔料の場合はいわば紙の上に載っている状態なので紙の劣化の影響を受けにくいというわけですね。
ちなみに新年の習字と言えば「書き初め」が思い浮かびますが、書き初めは平安時代に年始や元号が変わったタイミングで書く「吉書」がその起源とされているとか。
言葉を言ったり、書いたりする事で願いが叶うとする言霊信仰と結びついて新年という節目に書をしたためるという風習が始まったとチコちゃんお馴染みの新谷尚紀先生のワンポイント解説。
という事で3問目は以上。
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