酢豚にパイナップルが入っているのはなぜ?アメリカ発祥説の謎 チコちゃん
24年3月1日放送の「チコちゃんに叱られる」の問題『酢豚にパイナップルが入っているのはなぜ?』の答えを簡単にまとめてご紹介。
ゲスト出演者
【ゲスト】城田優、ラランドサーヤ
【VTRゲスト】なし
酢豚にパイナップルが入っているのはなぜ?
1問目の出題は、
なんで酢豚にはパイナップルが入っているの?
チコちゃんの答えは、
アメリカ人向けに作ったからだと思われるが…分からない
解説は東京家政大学の土屋京子教授。
「酢豚にパイナップルが入っているのは肉をやわらかくするため」という説が巷には溢れているようですが、パイナップルに含まれるブロメラインという酵素がたんぱく質を分解するので、パイナップルと肉を一緒に調理する事でお肉がやわらかくなるという解説。
ところがブロメラインという酵素は加熱によってその効果が薄れてしまうので加熱調理をする酢豚では肉をやわらかくする効果も非常に限定的なものに。
ちなみにパイナップル缶に入っているパイナップルは既に加熱処理済みなのでこちらも肉をやわらかくする効果はゼロだったり。
土屋先生によると酢豚にパイナップルが入っているのは彩り・食感・風味などを豊かにするためでは?と割とありきたりな答え。
ただそれだとパプリカで彩りは補えていて、食感や風味もタケノコの存在感が際立っていたりして、むしろパイナップルは邪魔もの扱いされていたり。
という事で1957年放送開始の「NHK きょうの料理」のアーカイブから酢豚を取り扱った特集を掘り返してみると、記録が残っているうちで一番古いと思われる1960年9月の酢豚に辿り着くことに。
スポンサーリンク材料にパイナップル2枚と記載されている酢豚レシピでは「パイナップルは使わなくてもできる」という注意書き。
にわかにパイナップル入り酢豚はNHKのきょうの料理が発祥なのでは?という説が浮上してくるところですが、
事の真相について中国料理の歴史に詳しい東北大学の川口幸人教授に話を伺うと、日本におけるパイナップル入り酢豚の最も古い記録は1957年のレシピ本まで遡れるとの事。
NHK発祥説は速攻で覆されたものの、中国よりも早い時期に日本でパイナップル入り酢豚が誕生していたという意外な歴史。
中国が国として出版している中国料理のレシピ集では古い文献を探っても酢豚にパイナップルが使われている記録が無いそうで、川口先生調べの世界最古の記録は1945年にアメリカで出版された中国料理のレシピ集「HOW TO COOK AND EAT IN CHINESE」という本。
という事はつまり「パイナップル入り酢豚の発祥はアメリカにある」と言えそうですが、川口先生は「”私は”そう考えています。現時点ではこの仮説が一番有力なんじゃないかと思っています。」と何やら含みのある言い方。
19世紀の半ば以降のアメリカではゴールドラッシュの影響などで中国からの移民が急増した事もあって中国料理がアメリカ国内に広まっていった時期であり、当時の中国料理といえば広東料理を指すのが一般的。
アメリカではバーベキューソースやサワークリームオニオンに代表されるように甘酸っぱい味が好まれる傾向にあり、広東料理である酢豚も定番メニューとしてアメリカでも受け入れられやすかったとか。
そして1900年代に入るとハワイの食品会社が広大なパイナップル農園を建設し始めて、缶詰技術が高まるとともにアメリカ本土にパイナップル缶を売り込むという動きが活発化。
それまでアメリカの一般家庭ではなかなか手に入らなかったパイナップルが一転して安く手に入る食材になったことで、この頃から様々な料理に用いられる定番食材の地位を確保していくことに。
こういった背景からアメリカで中国料理店を営む人が、もともと甘酸っぱくて人気だった酢豚に流行り出したパイナップルを加えるというアレンジレシピが広まったのではないか?という川口先生の仮説。
1945年以前のパイナップル入り酢豚のレシピについての情報があれば是非川口先生も知りたいという事で情報提供を募集した所で1問目は以上。
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