梅宮アンナさんは肥満恐怖症かもしれない。カコモルフォビアと言う強迫症。
人は多かれ少なかれ、自分の体に対して何らかのコンプレックスを持っており、特に過去に太っていた経験がある人は再び太ってしまうのではないかという恐怖症を抱えてしまう事があります。今回はそんな強迫症のお話をご紹介します。また、そんな症状に似て非なるもう一つの強迫症にも触れていきます。
スポンサーリンク「太る、肥満、デブ」というキーワードに関連した強迫症では、pocrescophobia(ポクレスコフォビア)やcacomorphobia(カコモルフォビア) などがあります。pocrescophobiaは一般的によく知られている強迫症ですが、cacomorphobiaは比較的珍しい症状と言えます。
pocrescophobiaはObesophobia(オベソフォビア)と同じような意味で、体重増加恐怖症、肥満恐怖症と訳されます。女性に多く見られる恐怖症の一つで、とりわけスリムで健康的な体型が望まれるような職業、例えばチアリーダーやダンサー、フィットネスインストラクターなどの職業に就く人々が発症しやすいと言われています。
症状の度合いは人によって様々で、食事を避けたり、常に体重を気にする(または体重計が怖い)、食べる事そのものに対する罪悪感がある、お腹が空かなくなる(食欲が無くなる)、などがあります。
食事に強く結びつく恐怖症な為、摂食障害を並行して発症する事が多いのも特徴で、Bulimia nervosa(略語BN、ブリミア・ネルボーザ)を発症している場合があり、この場合は食べ物を突如としてドカ食いした直後に、全てを吐き出してしまう症状が見られます。大抵の場合は自分で喉に指を突っ込んで意図的に吐き出す事が多いようです。
また、Anorexia Nervosa(略語AN、アノレキシア・ネルボーザ)を発症している場合には単純に食べ物を食べなくなり、一般的に拒食症として知られる症状が見られます。
pocrescophobiaにおいてはBNとANの二つの摂食障害を同時に発症するのに加えて、過度な運動を行おうとする症状も併発させる事もあります。
pocrescophobiaの症状を持つ人にとって体重がほんの少しでも増える事は多大なストレスを引き起こし、時としてパニック状態に陥る場合があります。このような状態に陥ると、心拍数が急上昇したり、呼吸障害を引き起こしたり、めまいや立ちくらみ、体のしびれや異常発汗、胸の痛みなどに襲われるケースがあるようです。
pocrescophobia発症のメカニズムについては個人差が多く、はっきりとした原因は分かりませんが、過去のトラウマが関係している事が指摘されています。
過去に太っていた人がその頃の辛い体験をトラウマとして抱えている場合や、身の回りの人が太っていた事に対してトラウマを抱えているケースなどがあり、例えば肥満が原因の病気によって亡くなった家族がいたりすると、肥満に対する恐怖心が強く心に刻まれ、後にpocrescophobiaを発症する原因となる事もあるようです。
pocrescophobiaの治療については、基本的に摂食障害を治療する事を主眼に行われる事が多いようで、入院をした上で医師のセラピーを受けたり、同じ症状を持つ人々のグループミーティングに参加したりと言った方法が取られます。ただし、入退院を繰り返してしまう患者さんもいるように治療成果は人それぞれというのが実情で、根気強い治療が求められます。
そしてpocrescophobiaに関連したものに、cacomorphobia(カコモルフォビア)と呼ばれる強迫症があります。ちなみに“caco”はギリシャ語で「醜い」、“morpho”は「形」という意味です。
cacomorphobia(fatphobiaファットフォビアとも)とは太った人に対する恐怖症の事を指し、この症状を持つ人にとっては太った人は何か化け物のように感じられたり、自分に危害を加えてくるのではないかという恐怖を感じるケースもあるようです。また、変わった感覚では、丸々としたお腹が破裂しそうな風船のように感じられる事もあるようです。cacomorphobiaに対しては「肥満恐怖症」と訳されますが、前述のpocrescophobiaとは全く違う症状ですね。
この症状を発症すると、自然と太った人から距離を置くようになり、視界から極力排除しようとする傾向がみられるそうです。これは太った人に対する差別意識とは明確に区別されますので注意が必要です。cacomorphobiaによる嫌悪感や恐怖心はコントロールが難しいもので、患者本人にはどうしようもない感情のため周囲の理解が求められます。
テレビ番組「金曜★ロンドンハーツ」で梅宮アンナさんが発言した内容からすると、pocrescophobiaとcacomorphobiaの二つの症状をお持ちのように感じられますね。過去に太っていた頃のトラウマがあり、それが引き金となり太っている人に対して嫌悪感や恐怖心を感じるようになっているようです。
安藤なつさんに対して辛らつな発言をぶつけていたそうですが、彼女にとっては恐怖や嫌悪の対象ですので、そのような行動を取っても仕方がないように思います。番組内では「なぜデブが悪いか」の理由を意見されていましたが、言いようの無い嫌悪感を感じてしまっている可能性もあります。
そんな梅宮アンナさんに対して世間は批判的な意見が多く見られるようですが、cacomorphobiaに対する誤解が多く見られるのが残念です。
確かに「太っている人も好きで太っている人ばかりではない」のは確かですが、太っている人に対して底知れぬ恐怖を覚える人も嫌いになりたくてなっているわけではないと言う事は知っておいたほうが良いでしょう。
例えば、高所恐怖症の人に対して、「高い所を馬鹿にしている」や「高いところを差別している」などとは言わないはずです。そういう恐怖症があるという事を周囲が理解し、本人も恐怖症の一つである事を自覚するという姿勢が求められるように思いますね。
もちろん、一般的な強迫症と共に医療機関で治療を受ける事も可能ですので、特に症状が気になる場合は医師の診断を受ける事が大切です。