“つまむ”だけで一瞬で体が柔らかく「深筋膜はがし」はがすだけじゃダメってホント?ストレッチの新常識
一瞬で体を柔らかく、たった2分で前屈で床に手が届くように?“つまむ”だけで効果があるという「深筋膜はがし (筋膜リリース)」ですが、実ははがすだけじゃダメなんです。その後に行うストレッチが実はキーポイントという事で、NHK筋肉体操でお馴染みの谷本道哉さん監修のストレッチのやり方をご紹介。筋膜はがし→ストレッチのセットがストレッチの新常識ってご存知ですか?
というわけで19年3月20日NHK総合で放送された、美と若さの新常識SP「ストレッチで めざせ美スタイル!」から抜粋してご紹介します。
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番組に登場した専門家3名は、
整形外科医でオリンピック帯同ドクターの早稲田大学スポーツ科学学術院教授の金岡恒治さん。
ゴッドハンドと呼ばれるほど患者の信頼も厚い医学療法士で健康科学大学健康科学部教授の成田崇矢さん。
NHK筋肉体操でも話題になった筋トレのスペシャリストで近畿大学生物理工学部准教授の谷本道哉さん。
番組では柔らかい筋肉を目指して姿勢を整えるストレッチの新常識を探るというコンセプトですが、そのために綺麗な姿勢を持っているはずというお手本として選ばれたのはミス・ユニバースジャパン2018で日本代表に選ばれた加藤遊海さん。
毎日自宅でストレッチに励んでいるとの事ですが、そのストレッチ方法を見せてもらうと足を前後に開いて開脚、足裏同士をくっ付けて前に倒れて股関節のストレッチ、そして肘まで床に着けた状態で行う3点倒立、肘倒立やヨガでピンチャーマユーラーサナと呼ばれるポーズですね。さらに横になってリラックスしている時も四股のポーズをしながらうつ伏せになってカエルのような姿勢。
加藤遊海「出来るだけ恥骨の辺りの筋肉を柔らかくしていってます。」
ただ、加藤遊海さんが実践しているストレッチは毎日ジム通いをしているという事もあってかなりハイレベルなもの。おいそれとマネ出来る難易度ではありません。※導入しやすいストレッチ法は後述
ということでとりあえずどれ位柔らかい体を持っているのかを客観的に測定。
使用するのは筋肉の硬さや体のゆがみなどを総合的に判定し、どれだけ整った身体をしているかを測って採点してくれる機械。
使用方法はセンサー入りのベルトを体の各部位(腕、胸部、腰部)に巻きつけて音声ガイドに従って所定のポーズを取るというもの。
恐らくコチラの機器はデサントの(DESCENTE) ザ・ボディコンディショナーでしょうね。
100点満点で平均は50点。
測定結果が出ると、具体的にどの部位の筋肉が硬くなりやすいのか?や、脂肪のつきやすい部位、立ち姿勢、歩き方のクセなどを判定。
加藤遊海さんが測定してみるとその点数は89点という高得点。筋肉が硬くなりやすい箇所や体のゆがみなどはほぼ無いという素晴らしい結果。計測スタッフさん曰く90点台は至難の業との事。
スポンサーリンク深筋膜はがし
柔らかい筋肉を目指すためにはまずは“深筋膜をはがす”事が第一歩。筋膜リリースなんて言葉も流行っているぐらい巷では話題ですよね。
そんな深筋膜のスペシャリストが医学療法士で健康科学大学健康科学部教授の成田崇矢さん。
普段全く運動をしない、昔から体が硬いという一般の方にテストしてみると、成田崇矢さんのたった2分の施術で前屈の成績が劇的に改善。
地面に手が全くつかなかった記録が手の平までついてしまうという驚きの結果。2分で16.2cmも伸びるように。
この深筋膜というのは皮膚や脂肪の下、筋肉の上にある層の事。脂肪と筋肉に挟まれた部分にある組織が深筋膜。下の筋肉をスムーズに動かす役割を担っています。
ところがこの深筋膜と筋肉がくっ付いていると筋肉の動きが阻害されて結果として硬くなるんですね。
超音波エコーで皮膚・脂肪・深筋膜・筋肉をモニターしながら体を動かしてもらい、その動きをモニタリングしつつ、筋膜はがしの前後でその筋肉の動き方を比べるとその違いは一目瞭然。
施術前は筋肉の層が僅かに動いている程度でしたが、施術後はグーンと伸びるように大きく変化。まるでチーズが伸びるように筋肉の繊維が伸びているのがはっきりと見て取れます。腰痛改善にも効果があるみたいですね。
この筋膜はがしは“かなり痛い”のもポイント。施術中は思わず声が出てしまうほどで剣山でポンポンと叩かれている感覚との事。
特に技術は必要とせず、誰でも出来ると豪語する成田崇矢教授。
スポンサーリンクもちろん自分一人でも出来るそうで、その方法は、
というシンプルなもの。
前屈を使って効果的に筋膜をはがすには、こんな手順、
- 前屈をして「この辺が硬いかな?」と感じる部位を把握する
- 先ほど硬いと感じた部位をつまむ
- つまんだ後はグリグリと動かす
- もう一度前屈して硬いと感じる部位が変わっているのを確認する
- 再度硬いと感じた部分をつまんでグリグリ動かす
こんな風に手順を繰り返して、硬いと感じる部分をどんどん自分で消していく感じ。
場合によっては硬いと感じる部位は太もも裏やひざ裏、肩周りにまで及ぶそうなので、その部位を確かめながらつまんでグリグリ動かしていきます。腰痛や肩こりに悩む人もこうやって丁寧にケアするのがポイント。
注意点はあまりなく、とにかくつまんで動かすのがポイントと成田崇矢教授。
しかしこの効果抜群の筋膜はがしですが、はがすだけではダメとの事。
その瞬間に動きやすくなり、その後はすぐに元に戻ってしまうのが問題点。
この柔軟性の維持していく為には筋膜はがし→ストレッチという流れが必要不可欠。
鍵は「太もも」と「背中」
そこでおすすめのストレッチとして金岡恒治教授に大事なポイントを指摘してもらいつつオリジナルストレッチを考案する事に。
金岡恒治教授が指摘した美しい姿勢の要素には、
太もも裏の筋肉(ハムストリングス)
ハムストリングスは膝裏から骨盤まで伸びている筋肉で骨盤の傾きと密接にかかわっているとの事。
金岡恒治教授「ハムストリングスがしっかりと伸びる、柔らかい事が骨盤の傾きを調整する上で非常に重要です。
ハムストリングスが硬く縮んでいると骨盤全体が後ろに引っ張られてお尻が下がってしまうですね。垂れたお尻の原因はハムストリングスだったりするんですね。
逆にハムストリングスが柔らかくなると骨盤を前に傾けやすくなり、お尻が自然と上がりヒップアップ効果が期待できるとの事。
さらにストレッチが必要な個所としては、
背中
背中にも骨盤が関係しているそうで、
金岡恒治教授「骨盤が前に傾くと体が前に倒れようとしますので、そうならないようにある程度、前湾といって前に反った綺麗なカーブを描く必要があります。」
骨盤が前に傾いてヒップアップすると、前に倒れようとする力が働くのでその力と釣り合わせるために背中を弓型に反らす必要が出て来るんですね。
つまりそれが正しい姿勢。よく背中のS字カーブと言われますよね?その為には背中の柔らかさが必要不可欠。
スポンサーリンク太ももと背中のベストストレッチ
続いて番組は近畿大学の谷本道哉准教授の元へ。NHKでいえば筋肉体操の監修で有名な存在。
先ほど鍵として挙がった太もも裏(ハムストリングス)と背中のストレッチを紹介してもらうと、
- 二段階前屈
- 伸びで胸椎反らし
という2種類のストレッチが候補に。
二段階前屈
まずはハムストリングス+背中をほぐす、
二段階前屈
そのやり方は、
- 床に座って足を投げ出して長座の姿勢
- 足先は軽く前を向く感じ
- もも裏を伸ばすために背筋を伸ばした状態で股関節から前に倒す(一段階)
- 背中も伸ばしたいので背中を丸めながら前に倒す(二段階)
- 前まで手が伸びたら足首や足裏、足先などを掴んで15秒間キープ
ポイントは、
足先は自然な感じで前に向けておく・背筋を伸ばす・正しいお辞儀のように脚の付け根から倒す・もも裏の伸びを感じる・手はしっかり前に出す
という点ですね。
伸びで胸椎反らし
続いては背中を伸ばす、
そのやり方は、
- 手を組んで上に向かってグーンと伸ばす(肩が痛い場合は無理をしない)
- 首と腰も反らすために上を向く
- 後ろに倒れないように骨盤を前にしながら後ろに体を倒す
- 背骨が上から下まで全部伸びる感覚
ポイントは、手を組んで上に伸ばす時に天井に向かって引っ張られているかのような感覚・反る時に骨盤を前に傾ける事を意識するとうまく腰椎も後ろに反る
ラジオ体操のような腰に手を添えて反る場合と手を組んで上に挙上しながら反る場合では手を組んだ方が伸びやすいというモニタリング結果があるそう。肩こりにも効果が望めそうですよね。
これらのストレッチは寝る前ではなく、朝起きた時がおすすめ。
痛みや違和感を感じなければ1日何回行ってもOKとの事。
スポンサーリンク小顔ストレッチ
さらにストレッチによって小顔効果もあるという事で、ポイントは首を長く見せるという点。
金岡恒治教授に詳しく解説してもらうと、
ポイントとなる筋肉は僧帽筋。
これは首の後ろから肩甲骨(背中)まで続いている大きな筋肉で、この筋肉が縮こまる(こわばる)と肩をすくめた時のように肩が首に向かって引っ張られる事で首が短く見えてしまうそう。
つまり僧帽筋がしなやかに伸びていたほうが小顔効果があるという意味ですね。肩を落とした姿勢が美しく見えるのは着物姿でもはっきりとしていますよね。
そこで僧帽筋ストレッチ。例によって谷本道哉准教授監修ですね。
そのやり方は、
- 椅子に座って右手で左の足首を持つ
- この時、背筋はしっかり伸ばす
- 足が落ちないように右手で掴んでいることで右肩(僧帽筋)のストレッチに
- 背筋を伸ばしたままで、さらに左手を使って首を斜め前に倒す
- 片側15秒で左右どちらも同様に
ポイントは、
足の重さに引っ張られた手が持っていかれて背中が丸まってしまうと肩が十分に落ちないので注意・背筋を伸ばした上で肩を下に引っ張る
という点。
何となくポーズから“モンキーストレッチ”と個人的に名付け。※あくまで個人的にです
この谷本道哉准教授監修ストレッチには金岡恒治教授も太鼓判。
しっかり伸びる僧帽筋のストレッチは種類が少ないのでかなり感心されている様子。僧帽筋は肩こりや頭痛にも関連していると言われているので是非取り入れたいストレッチですよね。
コチラが参考動画。
このようにして手を使って首を曲げるストレッチはかなりメジャーですが、上記動画のように椅子を掴むという方法でも代用可能ですね。実はこのストレッチで伸ばしているのは僧帽筋というよりはどちらかといえば肩甲挙筋 (levator scapulae)。首を横に曲げた時に筋のように浮き出るのが肩甲挙筋です。
さきほどの筋膜はがしと組み合わせて、肩甲挙筋を指でつまんでグリグリ→ストレッチのように繰り返すのもアリですね。
肩こりがある時はこの肩甲挙筋をつまむとなかなか痛いので効き目も十分に感じられます。
という事で以上ご紹介した、筋膜はがし→ストレッチというセットで美しい姿勢を目指してみませんか?