「ダンベル何キロ持てる?」アニメ第10話 スカルクラッシャー、アイソメトリックス、インクラインベンチのウソホント
この作品をきっかけに筋トレに興味を持つ方も多いという触れ込みの筋トレ指南アニメ・漫画作品「ダンベル何キロ持てる?」第10話で紹介されたは腕の引き締め効果を狙った上腕三頭筋のメニューであるスカルクラッシャーやアイソメトリックスの一環としてのポージング、そして大胸筋上部に効くインクラインベンチの3種。またしても紹介された知識はウソホントがかなり混ざっている内容なのでツッコミどころは今回も多め。
※漫画版とアニメ版では登場する筋トレ知識について情報量に多少の差がありますのでその辺も一緒に補足しておきます。
スポンサーリンクスカルクラッシャーの正しいやり方
クリスマスパーティーに向けて気合を入れる面々ですが、どうも気になるのが腹周りの次に腕周りという悩みを打ち明ける紗倉ひびき。
そこで街雄鳴造が紹介したのが上腕三頭筋の引き締め。
これは意外と知られていない事実かもしれませんが、腕を構成する二大筋肉、上腕二頭筋(いわゆる力こぶ)、上腕三頭筋(いわゆる二の腕)のうちでその3分の2を占めるのが上腕三頭筋という事。
残りの3分の1が上腕二頭筋になりますので、腕を引き締めたいとなったら上腕三頭筋を無視するわけにはいきません。
同様に男性の場合は太い腕を手に入れたいと思ったら上腕三頭筋を鍛える事で腕のボリュームが出ますのでオススメ。
そこで登場するのが「スカルクラッシャー (skull crushers)」というちょっと物騒なトレーニングメニュー。
別名はライイング・トライセプス・エクステンション (lying triceps extensions)、またはフレンチ・エクステンションと呼ばれていますね。
数多くある筋トレメニューの中でも特に上腕三頭筋に集中的に効かせられる種目で、いわゆる通常の腕立て伏せよりも7割から9割増しで上腕三頭筋に刺激が加わるというアメリカの研究結果も出ていますね。
上腕三頭筋を細かく見て行くと長頭(いわゆる二の腕で上腕三頭筋の大部分を構成)、外側頭(真横から見た時に見える部分)、内側頭(肘にごく近い部分にあり上腕三頭筋の筋力発揮に重要)という3つの部位に分けられ、スカルクラッシャーではこれら3つ全てに刺激がいきます。
この3つの部位が綺麗に鍛えられているとまるで馬の蹄鉄のような形になる事から海外ではホースシュー(horse shoe)と呼ばれたり。
その一方で手首にかかる負担は意外にもかなり小さいので、腕立て伏せで手首が痛いという方にもオススメ出来るメニューだったりするのがこのスカルクラッシャー。
ダンベルやケーブルを使うパターンもありますが、今回はバーベルとEZバーを使ったバージョンの紹介となっていますね。
そのやり方は、
- バーをオーバーハンド(手の平が天井を向く)でかつ親指は巻く形のサムアラウンドグリップで握る
- 肘を曲げてバーを額の生え際辺りまで下ろす
- 上腕三頭筋の収縮を意識しながら腕を伸ばす
以上のようにかなりシンプルな動きですが、注意点が一つ。
それは肘の位置を動かさないこと。
真横から見た時にバーの動く軌道が円を描くように動くのはNGであくまでバーが上下に動くイメージを持つことが大事です。
肘が動いて円を描くように動かすと肩の筋肉が運動に参加してしまうので効果が弱くなってしまうんですね。
これは結構やりがちな間違いなので要注意です。
また、頭の位置についてベンチから少し頭がはみ出るようなポジションがオススメされる場合もあります。ベンチの端っこが首の凹んだ位置に来る所が適正という事ですね。
そしてバーベルの代わりにEZバーを使うのもオススメ。
通常のバーベルだとバーベルと手首の位置関係がやや不自然な形のままで運動を行う事になるのでEZバーでそれを是正しようというのがその狙い。
元々手首への負担が軽いスカルクラッシャーですが、EZバーを使う事でより負担が軽くなりますね。また、両手にダンベルを持ったスタイルのスカルクラッシャーでも同様に手首の角度が自然に保てますのでオススメです。
ちなみにライイングは横たわるという意味でトライセプスは上腕三頭筋、エクステンションは伸ばすという意味になります。
スポンサーリンクバーの軌道について
「ダンベル何キロ持てる?」では以上のような説明になっていましたが、
実はバーの動かす軌道について肘を頭側により倒して、バーを額よりも低く下ろす方法がオススメされる事があるんですね。
それがコチラの動画。
動画では真横から見た時に12時の位置にバーを置くのではなく1時から2時ぐらいまで倒した位置からスタートさせると指導されていますね。※45度ぐらい倒した位置からスタートさせてもOKと指導されるケースもあります。
さらに頭上を通り越してきっちり下ろすというポジションも特徴的。
コチラのやり方のほうが力学的に考えて上腕三頭筋への負荷を強烈に高められるという事で支持されているようです。
ちなみにこの他に上腕三頭筋を効率的に鍛えるメニューとして、
- インクライン・ダンベル・キックバック
- インクライン・ダンベル・オーバーヘッド・エクステンション
- ケーブル・プッシュダウン
- バー・プッシュダウン
- ディップス
など。
それぞれのメニューの詳しいやり方についてはコチラのYouTube動画をご参照ください。
アイソメトリックス
クリスマスパーティー会場でポージングを取る街雄鳴造の姿を見た奏流院朱美は、
「実はあのポージング自体一種のトレーニングなのよ。」という発言。
ボディビルダーたちが自分の筋肉を誇示するポージングはアイソメトリックス (isometric exercises)と呼ばれる運動の一種という説明が後に続きます。
筋肉を動かさなくても収縮、緊張させた状態を一定時間キープする事で筋肉に刺激がいくというわけですね。ちなみに呼吸は止めないように。
ちなみに既に劇中で紹介された腹筋や体幹を鍛えるプランクもアイソメトリックスの一種。
このアイソメトリックスはカンフースターのブルース・リーが多く取り入れていたメニューとしても有名ですね。
ブルース・リーが行っていたと言われているのは同じ部位に対して関節の角度を3パターンで変えながらそれぞれ10秒ずつ合計30秒を連続で行うというアプローチ。
「ダンベル何キロ持てる?」では60%~70%の力を入れた状態を7秒間キープという説明になっていましたが、残念ながらその程度の時間ではトレーニング効果はかなり低いというのが実際の所。
ブルース・リー方式でも実はまだ十分ではなく、最低でも45秒、出来れば60秒はキープし続けるのがオススメです。
これはTUT (time under tension=タイム・アンダー・テンション)という考え方が元になっていて、筋肉の緊張持続時間を多く取れば取るほどに筋肥大が起こるという理論。
これに当てはめてみるとたった7秒しか力を込めないアイソメトリックスというのはベンチプレスで言えば1レップか2レップしか行わないという意味に等しいことになります。それで筋肉に十分な刺激が行くと思いますか?答えはノーです。
この考え方はアイソメトリックスに限った事では無く、通常の筋トレメニューでも同じことが言えます。
例えばベンチプレスを例にとるとバーの上げ下げで素早く2秒間かけながらを10レップ行った場合はTUTはたったの20秒。これに対して同じ10レップでも上げ下げで5秒かけられればTUTは50秒。その差は歴然ですよね?
TUTについてはざっくりと最低でも30秒、最長で70秒ほどが目安で、50秒ほどを意識しておけばとりあえず間違いないと言われていますのでこの機会に普段の筋トレメニューのレップスピードについても再考してみるのはいかがでしょうか?
コチラの記事ではレップスピードに触れていますが、そこで補足してありますのでご参照ください。
ちなみに一気に力を込めてウエイトを扱う爆発的な動きをした場合はTUTとは関係なしに大きな筋力発揮が望めるので短いTUTでもトレーニング効果は十分に得られるという研究もあったりして興味深い所。
そうは言っても、アイソメトリックスでは爆発的な動きとは対極にある動作ですので、やはりTUTは意識すべきポイントと言えるでしょうね。
以上の事をふまえてコチラの動画。
自重トレーニングの一環としてアイソメトリックス運動が取り上げられていますので何の器具も使わずに行えますね。持続時間については7秒と言わず長い時間キープできるようにTUTを是非意識してみてください。
スポンサーリンク最後にボディビルダーのポージングの話が第9話に続いて第10話でも登場したのでこんな動画も紹介しておきます。
出番を待つ選手たちがバックステージでどのような事を行っているのかが分かりますね。
筋肉をパンプさせる為にトレーニング器具を持ち込んで筋肉に刺激を与える様子を見ていると、バックステージの準備段階でもう既に戦いは始まっているのを実感。
そしてただのポージングでも実はかなりキツい事をやっている事が分かるのがこの動画。
筋肉を際立たせるために水抜きをしたりしてギリギリの減量を行った状態でポージングの為に力を込めると、その途端に意識を失ってしまったりなんて事が起こり得るので要注意。
要注意って誰に言っているのか分かりませんが、こんな状態でも志を同じくするビルダーたちにとっては「ギリギリまで追い込んでたんだな・・・」と一種の同情があったりして。
インクラインベンチの正しいやり方
※インクラインベンチについては記事執筆中
そして、第10話のエンディングに登場したのは既に第9話で紹介済みのポージングについてですので詳しくはコチラの記事で。
ということで「ダンベル何キロ持てる?」から第10話「クリスマスはお好き?」に登場した筋肉知識を総まとめ&補足情報についての紹介でした。
「ダンベル何キロ持てる?」の筋トレ知識検証記事はコチラ
コチラの記事も