NHKあさイチ 2段階のファシアケアで腰痛・膝の痛み改善の詳しいやり方、新常識は?
21年4月14日放送のNHK「あさイチ 体メンテの新常識“ファシア”第2弾!腰・ひざの痛み対策」では専門家によるファシアの解説やプロが指導する柔軟性や姿勢を良くする簡単なファシアゆるゆる体操も紹介。四十肩・五十肩、ぎっくり腰・ヘルニアにはファシアは効くのか効かないのか?なんて話題も。
スポンサーリンク
ファシアで姿勢改善
ファシア(fascia)とは筋肉・臓器・血管・骨などを包んでいる網目状の組織の事でその主な主成分は水分とコラーゲン。
全身に張り巡らされていて、体の組織を支えている事から“第2の骨格”とも呼ばれていたり。
このファシアの動きが滑らかだと接触している筋肉などの動きがスムーズでコリや痛みが軽減。
指導するのは東京医科大学の遠藤健司医師。
まずは猫背・ポッコリお腹・垂れたお尻を改善するファシアゆるゆる体操のやり方から。
肩がこった時に両肩をグルグル回す動きをしてしまうと思いますが、あの動きをもっとゆっくりしっかり行うイメージ。
肩甲骨を寄せるイメージで出来るだけ引っ張るのがコツ。後ろに引いた時に肘が下がってしまいがちですが、出来るだけ肘の高さはキープして頑張りましょう。
これをたった5回繰り返すだけで体操の前後の姿勢が激変。
姿勢が良くなったので身長が0.5cm伸びて、バストサイズも1cmアップして、ヒップラインも1cm上がってヒップアップと効果は抜群。
よく見るとポッコリお腹も改善。
遠藤先生によると肩周りのファシアを動かした事でそれが背骨のファシアに伝わって姿勢が良くなったのではないかというコメント。
肩甲骨を大きく後ろへ動かすと菱形筋のファシアが動きますが、すると背骨(椎骨)にも刺激が伝わって背中が柔らかくなり、背骨が本来あるべき位置に自然と動くという原理。
ここで自分のファシアがしっかり緩んだ状態になっているか?をチェックするファシアゆるゆる度チェックのやり方もご紹介。
- 壁に頭・背中・かかとをつけて気を付けの姿勢で真っ直ぐに立つ
- 手の平を下に向けたままゆっくりと両腕を上げる
- 痛みが出た所でストップ
腕が60度以上上がらないと上半身のファシアに問題がある可能性が高いという診断結果に。
肩関節の柔軟性が悪くても腕は上がらないので、もしかしたらファシアに原因があるかも?という事ですね。
ちなみに長時間横になってテレビを観ていたり、背もたれに寄り掛かったまま長時間座っていたりするとファシアの動きはすぐに悪くなってしまうもの。
体が触れている所は圧刺激を受けるので「同じ姿勢」「圧刺激」のダブル攻撃でファシアは“30分”ほどでもあっという間に固まって来るとか。
スポンサーリンクアスリートとファシア
姿勢改善のファシアケアはアスリートにも有効で、飛び込み競技のオリンピック出場内定選手である坂井丞選手、強化選手の村上和基選手などのボディメンテナンスを行っている桐蔭横浜大学教授で理学療法士の成田崇矢さんによると、
練習の合間に選手が違和感を感じた箇所を指で軽くつまんでゆらすだけで簡単なケアが出来るとの事。
オリンピック選手になると自分の身体への感覚も一般レベルとは比べ物にならない程に鋭いのでファシアの違和感にも敏感なんだとか。
そして練習後はファシアを意識した入念なケアも。
着水までのしなやかな体の動きがとても重要な飛び込み競技。体の柔軟性などを高める為に導入したのがファシアケアだったとか。
飛び込み競技では着水の瞬間に限りなく真っ直ぐな姿勢を取って水しぶきを上げないようにする事も大切ですが、村上選手が弱点にしていたのはお尻の位置。
真っ直ぐな姿勢を作ろうとするとどうしてもお尻が出てしまっていたのがファシアケアを受けると真っ直ぐな姿勢に改善。
お尻、肩、肋骨のファシアケアをした事で背中の反りが改善されていますよね。
スポンサーリンクつまんでゆらゆら
ここで成田先生指導による「つまんでゆらゆら」ケアのやり方。
- 脂肪だけつまむ
- イタ気持ちいいくらいの強さで数秒ゆらゆら
- 移動する痛みを追いかけてどんどんケア
- 1分ほど連続してケアしたら一度全体を動かしてみて確認
ファシアが原因の痛みはこのケア方法である程度は改善するそうですが、痛みの原因が他にある場合は痛みは治まらないので効果の有無を確認しながら改善すればどんどんやってみるというアプローチが良いと成田先生。
ただし、痛みが無くなったからと言って毎日は行わないように注意。痛みがある場合にのみケアするのがファシアケア。
ファシアの動きを良くし過ぎると柔軟性アップには効果大ですが、今度は動き過ぎて痛めるというケースもあるとか。
ちなみに四十肩・五十肩にファシアケアは効く?という質問には、
四十肩・五十肩の発症初期は肩関節そのものに原因がある場合が多いので、その場合はファシアケアをしてもあまり効果は期待できないものの、痛みから肩を動かさないでいると今度はファシアにも問題が出て来て、その際にはファシアケアが有効になるという成田先生の回答。
また、小学生の子どもでもファシアケアは有効との事。
スポンサーリンクファシアと痛み
筋肉の痛みを研究している早稲田大学の金岡恒治教授によると、
ラットのファシアの中に神経があるのかどうか?を調べた研究結果では、
ファシアの中にも神経が通っていて、これは人間にも当てはまるとの事。
神経が通っているという事は刺激が加わると痛みを感じるという事でもありますよね。
針を筋肉に向けて刺していき、どの部分がどの程度痛みを感じるのかを調べてみると、
- 皮膚を刺した瞬間に感じる痛みは10段階の5
- 皮膚の中を通る時に感じる痛みは10段階の0
- ファシアに到達した時に感じる痛みは10段階の5
- 筋肉の中を通る時に感じる痛みは10段階の0
つまり皮膚もファシアも同じように痛みを感じるという事が明らかに。
さらに筋肉が痛みを感じるのではなく、それを取り囲むファシアが痛みを発しているという事も。
ちなみに注射の時に感じる痛みも実は皮膚とファシアが痛みを感じていたというわけですね。
スポンサーリンク2段階の腰痛ケア
実は成田先生の得意分野は腰痛のケア。
そんな成田先生によるとファシアが原因となる腰痛にはある特徴があるそうで、それが、
どこか1か所がピンポイントで痛いのではなく広範囲にじわっと痛みがある
という点。
ちなみにぎっくり腰・打撲・ヘルニアの痛みのファシアケアは急性期にはあまり効果は無く、やはりこれも動かさない状態をキープしている間に起こる慢性的なコリなどへの効果は期待できるとの事。
前に曲げたり、後ろに反らしたり、横に動かしたり、腰を回したりと色んな動きの時に痛みを感じる場合はファシアに原因がある可能性アリとの事。
そんな際にケアすべきファシアには大きく分けて2つあって、
- 腰の筋肉と脂肪の間にあるファシア(表層部)
- 腰の筋肉と筋肉の間にあるファシア(深部)
ではまず1の筋肉と脂肪の間(表層部)にあるファシアのケア方法から。
- まずはケアの前に腰を色々な方向で動かしてみて、どの動きで痛みが出るのかを確認。広範囲に痛みを感じる場合はファシアが原因の可能性があるのでケアに進む
- 痛みを感じる部分をつまむ(つまめる範囲にあるのは全て脂肪なので筋肉かどうかは気にしなくてOK)
- ゆらゆらと数秒動かす
- 先ほどと同じ動きをして痛みがどうなったか効果測定
- 痛みが軽くなるか、痛みの場所が変わったらファシアケアが順調に進んでいるのでさらに痛みの箇所をつまむ
- 腰が軽く動くようになったらケア完了
つまむ角度は関係ナシなので自分が手を回してつまみやすいようにつまめばOK。
スポンサーリンクこの方法で痛みが無くならないという人は腰の深い部分にあるファシアに原因があるかもしれないので2の筋肉と筋肉の間(深部)にあるファシアケアへ。
背骨の横にある体を支える筋肉、腸肋筋と腰方形筋。
この2つの筋肉に挟まれた所にあるファシアの滑りが悪い時にも腰痛は発生。
この場合のファシアケアは筋肉間のファシアを狙ってピンポイントで指先で押し込む必要があり、
場所の探り方は、
背中の凸凹とした中心部は背骨でそこから横に指を動かすと盛り上がった脊柱筋があり、その一番外側に腰肋筋があり、そこを押す
というアプローチ方法。
そして押し方にもコツがあって、背骨に向かって「斜め45度」に押すのがポイント。
かなり深い部分にファシアがあるのでグッと数秒間押し込むのが大事。
肩甲骨を閉じるイメージで後ろから押すぐらいの感覚でOKと成田先生。
画像の青い部分は全て痛みが出る可能性がある箇所なので腰のどの高さを押すのかは自分で押してみて判断。
ちなみに妊娠中の妊婦さんはお腹が大きくなることでファシアの動きも悪くなりそれが原因で腰痛が生じるケースが多いようですが、自分でセルフケアし過ぎると今度は緩み過ぎて違う痛みが出やすいので出来れば専門家に処置してもらうのがオススメだそう。
妊婦さんは元々関節が緩みやすい体になっているので要注意と成田先生。
その代わり、産後に関してはどんどん自分でやるべきとも。
腰痛に関連してお尻にコリや痛みがある場合もファシアケアは使えるそうでその場合も、動かして痛みがある部分をチェックして痛い箇所をつまんでゆらゆらして、また動かして痛みがどうなったから効果測定というやり方でセルフケア可能との事。
スポンサーリンク膝の痛み
膝の痛みとファシアの関係性で言うと、
膝の後ろ側の筋肉が骨にくっ付く部分、鵞足(がそく)の脂肪とファシアの動きが悪くなることで膝の前側に痛みが出る事があると成田先生。
膝の曲げ伸ばしの際にファシアの動きが悪いと痛みが出るという事ですね。
ケア方法は簡単で鵞足の部分の脂肪をつまんでゆらゆらさせるだけ。
動きが極端に悪くなっている人はつまめない事もあるそうなので、そういう時は周囲で(例えば後ろ側から順に)つまめる部分を探して緩めていき、徐々に鵞足をピンポイントでつまめるようにしていくアプローチ法を使うべきとの事。
繰り返しになりますが大切なのは、
膝を動かした時に前側が痛い場合はファシア由来の痛みの可能性が高いのでファシアケアは有効という事。
膝関節そのものに原因がある場合はファシアケアでは痛みは取れないので、やってみて改善すればOK。改善しなければファシアケアではケアできない範囲外という事になりますね。
病院で既に診断を受けて原因がはっきりしている場合はファシアの範疇とは外れるので効果が無い場合ももちろんあり。
今回紹介した部位以外でも肘やくるぶしなどあらゆる所にファシアは存在しているので、コリや痛みを感じたらとりあえずつまんでゆらゆらさせてみるのがおすすめとの事。
また、疼痛のようなうずくような痛みやジンジンする違和感などもファシアが原因によるものも多いとか。
以上「あさイチ 体メンテの新常識“ファシア”第2弾!腰・ひざの痛み対策」のまとめでした。
NHK「あさイチ」に関する全記事はこちらのリンクから