解体キングダム 中銀カプセルタワービルの解体業者は140個のカプセルをどうやって外した?
23年4月5日のNHK「解体キングダム」では中銀カプセルタワーの解体に密着。140個のカプセルを取り外すには相当な苦労があったようで解体業者・東京ビルドを悩ませるビルの特殊構造&老朽化などまとめてご紹介。
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カプセルの取り外し
そもそもカプセルタワービルは「取り外すことが可能」が基本コンセプトなので、
各カプセルは上部にある4本のボルトだけで壁に固定されていて、
となると取り外すのを前提で作られているので、ガンガン取り外してしまえばスムーズに解体作業は進む…わけではないのが厄介な所。
しかも50年間に渡ってカプセルが取り外された事は一度もなかったという事も。
そこで安全にカプセルを取り外すために解体業者の東京ビルドが考案したのが4本の鉄骨を渡した特殊な装置。
クレーンにつけたこの装置にカプセルを乗せて吊り上げ、一つ一つ丁寧に地上に下ろしていく名付けて「カプセルゆりかご作戦」。
となると高さ53mのカプセルタワービルの周辺環境のうち「どこにクレーンを置くのか?」が問題。
そこで行われたのがクレーンを置くための場所を確保するのに隣のビルを先に解体するという作戦。
こうしてクレーン設置スペースを確保した上で総重量115トン、アームの長さ最大73mの巨大クレーンが登場。
カプセルの隙間に鉄骨を差し込み、クレーンで吊り上げればカプセル取り外し。
ところが隙間に存在する配管が邪魔で鉄骨が上手くカプセルに密着せず作業は難航。
しかもこの配管の位置はカプセルごとに微妙に異なるので現場で試行錯誤してやっていくしかないという苦行。
ようやく鉄骨がカプセルに密着。
3時間かけて台座が切り離されると、
「とりあえず今日は目標の一個はいけたので次に生かせると思います。1個ずつ頑張ります。」
建物のタワー部分もどんどん短く解体。
スポンサーリンク保存用カプセル
こうして初めてのカプセル取り外しの日から約2か月がたった頃に新たな課題。
実はカプセルのうち二十数個は壊さずに保存し国内外の美術館への寄贈が決まっていたこともあって、解体作業と同時に保存作業。
取り外してから改めて復元作業が行われるようですが、穴を開けたり、台座を溶断したりといった荒業は使えないというのがネック。
ジャッキをカプセルの下に入れて少しずつ押し上げることであの台座の固着を何とか外そうというシンプルなアプローチ。
また、特注の装置を使ったあのゆりかご作戦は今回は用いず。
というのも老朽化によってカプセルの床部分の腐食が激しかったため、
この状態で吊ると作業途中で床に負荷がかかり過ぎて崩壊するリスクを考慮。
建設当時はこの吊り環を使ってクレーンで吊り上げてタワーに設置。
ネジ穴は腐食を防ぐために密閉されていたそうで、今回は50年ぶりにこの封印を解いて解体に使われる事に。
作業に耐える強度があるか何度も試験を繰り返した結果、吊り上げは可能という判断。
ジャッキを使った突起抜きも上手くいき慎重な作業でカプセルが空中へ。
「普段は何もなくなっちゃう仕事なんで、(今回は)形として残って未来につなげていけるのは誇りに、嬉しく思いますね。」
以上、解体キングダムより中銀カプセルタワービルの解体でした。