Get WildバージョンゼロのNG理由&歌詞のスピード感の意味は?小室哲哉本人解説
23年9月3日「カズレーザーと学ぶ特別版」では小室哲哉がGet Wildを本人解説という事でデモテープのバージョンゼロのNG理由、イントロ誕生のきっかけ、歌詞とメロディのスピード感、転調の意味など放送内容をまとめてご紹介。
スポンサーリンクエンディング制作の経緯
最初のオファーを受けた時には主題歌ではなく「エンディング曲」だったという事に一つ引っかかるものがあったそうで、
ただ当時のTM NETWORKはこれが売れないと先がないというギリギリ崖っぷちの状況だった事もあって、
「僕らにとっては大事な、ヒットしないといけないシーンで。」
曲制作にあたってはアニメ側のリクエストに応える形で10数回修正を繰り返して進められ、これは当時の小室哲哉にとってはかなり異例。
「そこまで細かくオーダーされたのは初めてだったので。笑。結構戸惑ったと思います。」
どんなオーダーがあったのか詳しく聞いてみると、
「アニメタイトルを繰り返しコールするような曲はナシ。テーマ曲ではなくイメージソングでOK。」という第一条件。
そこで作られたデモ音源にはアニメ制作側からダメ出しがあったそうで。
Get Wildのバージョンゼロ
「Get Wild Ver.0」と呼ばれる歌詞未定のデモテープ音源では、
イントロについて小室哲哉自身は「入り方がぐちゃっとしてますね。笑。どっから歌うんだよ?って感じですね。」と改めてセルフ解説。
あの有名なイントロが付いていないバージョンゼロを聴いたアニメ側から出されたオーダーは、
「毎回(アニメの)ドラマが終わって次に繋がるようになる。必ずカッコイイ側の冴羽獠で終わると。そこに曲がエンディングで入ってきて欲しい。」
シティーハンターではエンディングの冴羽獠のセリフと共に映像が止まってから引いていって終わるという「止めて引く」ラストカットが定番。
このシーンに合わせてスムーズに盛り上がれる曲がアニメ側の強い要望。
これを踏まてバージョンゼロに対しては「今いただいているテープだとスッとエンディングに入って行けない。」というダメ出しがあったそう。
監督を含めて制作陣はエンディングに懸けるという強い思いでアニメを作っていたそうで、そうなるとGet Wildも作り直す必要が。
スポンサーリンクイントロ誕生
イントロを二段構成にすることで強弱が付いて盛り上がりを保ったままエンディングになだれ込むという戦略。
さらに、サビを冒頭に持って来る形でイントロにすることに。
このサビ頭の手法は90年代の小室哲哉サウンドで多用されるヒットの法則となっていき、
『恋しさと せつなさと 心強さと』『CAN YOU CELEBRATE?』などが好例。
歌詞とスピード感
曲全体を考えた時に最も意識したのが「スピード感」で、
これを生むために使用したのが16分音符の多用という秘策。
「今までのアニソンには無かったと。」
1拍の中に4つの音が入る短い音を組み合わせて多用する事で疾走感やグルーブ感を演出。
「細かい音符を入れることで今までにないスリリングな感じが出ると確信してやってたと思いますね。」
例えばサビの歌詞Get wild and toughの「Get」に対しては音符だと16分音符の一つしか載っておらず、その短い音にG・e・tと3文字の言葉が入ることに。
こうする事でスピード感を落とす事無く、印象に残るフレーズが完成。
このように歌詞とメロディーが上手くかみ合うとみんなの記憶に残る曲が出来上がるというのが小室哲哉の解説。
黒鍵と白鍵
エンディングのサビの最後には転調するポイントが作られていますが、
転調前はピアノの黒鍵を主に使い、転調後は白鍵しか使わないというギャップ。
白鍵しか使わない=ハ長調は童謡などでも使われるように潜在的に「落ち着く音」であり、同時にちょっとした多幸感も。
それまでの重くてスリリングな緊張感から解放されて前向きな気持ちで終われるようにという事でこんな仕掛けに。
以上、カズレーザーと学ぶ特別版よりGet Wildの小室哲哉本人解説でした。