今でしょ講座 『歯のメンテナンス大全』医師おすすめの正しい歯磨きはタイミングが大事?
20年12月8日放送のテレビ朝日系「林修の今でしょ講座」では正しい歯磨きについて書籍『歯のメンテナンス大全』の著者が直接解説。歯磨きのタイミング、磨き方、歯ブラシの使い方、舌磨きなどなど。
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歯磨きのタイミング
今回の解説は書籍『歯のメンテナンス大全』の著者であるサウラデンタルクリニック院長、堀滋先生。
まずは歯磨きのタイミングについて。
番組の調査では、
- 「朝起きてすぐ歯磨きをする人」53%
- 「朝食後に歯磨きをする人」47%
でほぼ半々という結果ですが、
堀滋先生によると「朝起きてすぐ」が正しい歯磨きのタイミング。
堀滋先生「朝の口の中は細菌でいっぱいなんです。」
データによると夜寝る前と比べて朝の口の中の細菌の量は約8倍。
寝ている間は唾液の分泌がほぼゼロになってしまい、通常は唾液で洗い流されるハズの細菌がずっと口内に留まる事になってしまうんですね。
例えるなら、昼間の口の中は常に流れのある「川」だとすると、寝ている間の口の中は水の入れ替わりが無い「池」のような状態だそう。
となると「朝起きてすぐ」と「朝食後」と両方のタイミングで歯磨きをすべき?という疑問も浮かぶかもしれませんが、
堀滋先生「両方やっていただきたいと思います。」
という回答。
どうしても朝の忙しい時に2回も歯磨きをするのは面倒くさいという人は、
「起床 → うがい → 朝食 → 歯磨き」
という手順でもとりあえずはOKと堀滋先生。
ただし、ベストは2回歯磨きをすると覚えておきましょう。時間に余裕のある時は是非行いたい習慣ですね。
起床直後の水
堀滋先生によると朝ついやってしまいがちな危険な行為があるそうで、それは、
「朝起きてすぐに水を飲む」
というもの。
これはつまり、細菌を丸ごと飲み込んでしまっていると堀滋先生。
昔は飲み込んだ細菌は全て胃酸で死ぬと考えられていましたが、実は最新の研究では腸まで到達してしまうケースがある事が分かっているとか。
細菌が集まってある程度の塊になっていると胃酸の攻撃から生き残った細菌が腸まで届いちゃうんですね。
悪玉菌が腸内まで到達してしまうと、腸内の細菌バランスが崩れて様々な病気のリスクが高まってしまうのでNG。
ちなみに香港の大学の研究チームでは、
新型コロナに感染した患者の腸内には善玉菌が少なく、悪玉菌が多かったなんてデータもあったり。
いずれにせよ、朝イチで水を飲むなら「歯磨き後」か「うがい後」と覚えておきましょう。
口内細菌とウイルス・病気
近年になって、口内細菌とウイルスとの関係性が明らかになって来たそうで、
日本大学医学部の研究では「口の中が細菌だらけだとインフルエンザにかかりやすくなる」との事。
さらにかかりやすくなるだけではなく「抗インフルエンザ薬も効きにくくなる」なんて事も指摘されているそう。
堀滋先生の解説によると、
口の中の細菌が出す毒素はインフルエンザウイルスの増殖を助け、それによってインフルエンザウイルスが活性化してしまうというのがその仕組み。
口の中の細菌には虫歯菌、歯周病菌などの色んな種類の菌がいますが、細菌の総数はあまり歯を磨かない人の場合は
約4000~6000億個
これらの菌は最近の研究ではインフルエンザだけではなく、動脈硬化や認知症など様々な病気に影響を及ぼしている事が判明。
まずは「虫歯菌が脳卒中(脳出血)のリスクを高める」というテーマから。
国立循環器病研究センターが発表した内容によると、
脳卒中の入院患者で口の中に虫歯菌がいた人はいない人に比べて治療後も脳出血が4.7倍多く起きる
というもの。
そもそも虫歯菌とは、糖質を食べて酸を排出する菌の事で、その酸のせいで歯が溶けて虫歯になるというのが基本的な情報。
スポンサーリンクそして「歯周病菌(ジンジバリス菌)が認知症に関係している」というテーマ。
ジンジバリス菌は歯周病の原因菌と言われている菌ですが、これは直接血管に侵入し、通常は侵入できないと考えられていた脳の中にも入り込むのではないか?という指摘がされているとか。
というのも認知症発症後に亡くなった患者さんの脳には多数のジンジバリス菌が発見されたそうで、存命の患者さんの場合でも脳髄液の中からジンジバリス菌が見つかったりと認知症との関係性が深いとの事。
ちなみに、ジンジバリス菌が口内で増えると普段は悪さをしない菌たちにまで悪影響を及ぼす作用もあったり。
舌の位置に注意
口の中に細菌が多いかどうかを判断する一つとして、
舌の位置
を指摘する堀滋先生。
口を閉じてリラックスした状態であなたの舌の位置は口の中で、
- 上に付いている
- 下に付いている
のどちらでしょうか?
下に付いていると答えた人は要注意。
口から入った空気は舌がある事でガードされて細菌が増えやすい口の乾燥状態を防いでいるのですが、舌が下にあると空気がそのまま通ってしまって口が乾燥して細菌が増えやすい状態に。
特に最近はマスクを着ける機会が一気に増えている事もあって、鼻呼吸だと息苦しくて自然と口呼吸になっている人も多いそう。
舌の位置を正しい位置に戻すのにおすすめなのが、
あいうべ体操
- 口を大きく開けて「あ」と発声
- 口を横に大きく広げて「い」と発声
- 唇をとがらせて「う」と発声
- 舌を真っ直ぐ前に出して「べ」と発声
- 30回繰り返す
特に一番大事なのが最後の「べ」。舌が下に垂れ下がる形はNG。
手を前につき出すようにして舌も真っ直ぐ前に。
もしこの時、舌がどうしても垂れ下がってしまう人は舌の筋肉が衰えている証拠。
あいうべ体操を行った直後は舌が上に付いていませんか?
それが本来の正しい舌の位置。
正しい歯磨き
歯磨きの力加減については、ガシガシ磨く派と優しく磨く派に分かれると思いますが、
正しいのは優しく磨く派。
強く磨くと歯の表面のエナメル質が傷つき、歯茎が痩せてしまう原因に。
ではここで正しい歯磨きの仕方をまとめ。
- 歯ブラシは鉛筆持ちで力を入れないように意識
- 毛先はななめ45度で歯に当て、歯と歯茎の間を狙う
- 肘を固定して歯ブラシを真っ直ぐ動かす
- 歯ブラシの毛の弾力で磨くイメージ
歯ブラシは濡らす?乾いたまま?
番組調べでは、
- 「濡らして使う」70%
- 「乾いたまま使う」30%
と歯ブラシを使う時は水で濡らしてから歯磨き粉をつけるという人が7割で多数派でしたが、
堀滋先生によると「濡らして使う」のが正解。
これは単純に歯ブラシを置いている間にカビや雑菌などが増殖しているリスクを考えて、使う前には洗ってから使った方が良いという事だそう。
ただし、水ですすぐだけで基本的に歯ブラシはキレイになるので特別に消毒したりというのは必要なしと堀滋先生。
流水でそそぐ場合は「指でこすらない」のが大事。
指でブラシの毛先を洗ってしまうと飛沫が周囲に飛んでしまうので衛生的にNG。
歯磨き時のコロナ対策
また、歯磨き時のコロナ対策については、
- ブラッシング中は口を閉じる
- 家族の歯磨きの時間をズラす
- うがいは腰を低くして勢いよく出さない
- 歯磨き粉は1人1つで共有しない
- 歯ブラシにはキャップを付けて不意の接触を防ぐ(梅雨時期は除く)
との事。
歯磨き中に口を閉じておくのは口の筋肉を鍛える事にもつながるので半開きはNG。
洗面所の取り合いになるのはリスクなので、磨く時間帯をズラしたり別場所で。
歯ブラシの交換時期
毛先が開いたら替えるという人が多いかもしれませんが、
堀滋先生によると「毛先が開いた時点ではもう遅い」との事。
歯ブラシは毛先の弾力が最も重要なポイントなので、弾力が無くなった時点で寿命。
目安は使い始めて1か月。
舌磨き
堀滋先生によると舌磨きは「1日に行う回数」がポイントだそうで、
正しい舌磨きの頻度は「1日1回」で十分との事。
舌についた白いコケのような舌苔は最近や食べかすが舌の表面に付着したもので口臭の原因の一つ。
ただし、舌苔は大量に付着するものではないので1日1回の舌磨きで十分キレイになるとの事。
タイミングとしては寝る前の1回。
舌はデリケートなのであくまで優しく磨きましょう。歯ブラシでもいいですが、専用のタンクリーナーも。
また、舌の上にはウイルスを活性化させる物質が存在していると最近の研究で分かっているそうで、
インフルエンザウイルスやコロナウイルスが体内で増殖して感染するにはプロテアーゼという酵素が必要不可欠ですが、
舌苔の中にこのプロテアーゼが多く含まれている事が分かって来たとか。
つまりウイルス感染症を防ぐには舌を磨くのが一つのポイントになるのかもしれないという事ですね。
以上、林修の今でしょ講座から『歯のメンテナンス大全』著者の医師が教える正しい歯磨きの新常識についてでした。