大坂なおみコーチ陣の日本人トレーナー茂木奈津子&中村豊のトレーニング内容は?
21年2月27日放送のTBS系「バース・デイ」では大坂なおみのもう一つの家族であるコーチ陣からトレーナー茂木奈津子&中村豊を特集。家族同然に大坂なおみに帯同する「チームなおみ」が指導しているトレーニングの中身についてのドキュメンタリー映像で分かる事とは?メンタルトレーニングやルーティンワークなどをまとめてご紹介。
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アスレティックトレーナー茂木奈津子
チームなおみに2人所属している日本人トレーナーはフィジカルトレーナーの中村豊と、
2018年から専属トレーナーに選ばれてからは大坂なおみの「チームなおみ」布陣の中では最も長く、唯一の女性スタッフとして活動しているアスレティックトレーナーの茂木奈津子。
茂木奈津子「どういう性格なのかっていうのを理解しながら接し方を変える所はあるんですけど、彼女の場合はズカズカ入り過ぎても心を開いてくれないだろうし、でもなるべく会話のキャッチボールをするようにしていました。」
試合本番の数時間前にはコートでの練習。
一メディシンボールなどを使って一般的なダイナミックストレッチでのウォームアップがスタート。
大坂なおみと共にトレーナー茂木奈津子も同じメニューを消化。
2019年のツアーファイナルズでの練習前風景はコチラのYouTube動画で。
茂木奈津子「会話をしながらですけど、動きの確認をしていたりします。朝会った時の何となくの表情から今日はすごく緊張してるなとか。その日どういう気分で迎えているかとか。寝られたのかって事も質問しながらコンディションの状態を把握して試合の前に全員で『今日はどう?』ってミーティングをしています。」
会話の中身は時としてありふれた雑談になる事もあって、
茂木奈津子「日本に帰ったらデザート何食べたい?」
大坂なおみ「ストロベリーアイスクリームを食べたい。」
と大坂なおみの緊張をほぐす意味でもコミュニケーションは重要。
茂木奈津子「一時期よりは確実に笑顔が増えていると思います。笑。厳しい時期があったと思うので。」
アスレティックトレーナーの主な仕事は試合前のウォームアップを主導したり、マッサージなどの「体のケア」が専門分野。
ところがメンタルが不安定と言われる大坂なおみと接するうちに「良き相談相手になってあげたい」とメンタル面のケアも率先して行うように。
その大きなきっかけになったのが日本代表の一員として出場した2020年2月国別対抗戦フェドカップ。
当時世界ランク10位だった大坂なおみはチームの柱を担うべき絶対的エース。
勝ちが欲しい一戦でしたが世界ランク78位を相手に結果は0-6、0-3のストレート負け。苦手とされているクレーコートの試合とはいえ50本のアンフォーストエラーを数える大敗。
感情のコントロールが効かず、試合中にもかかわらず泣き出してしまうというショッキングなシーンも。
茂木奈津子「もう辛いですよ。本当に。何て声をかけてあげればいいのか分からないし。気持ちを理解しようと思っても私がプレーしているわけではなくて、私がなおみなわけではないので。でもサポートしたい、助けてあげたいって気持ちはあって。」
そこで大坂なおみの本音を聞きたい一心からチーム内で繰り返し話し合いの場を設けるように。
さらに食事を共にする時間も増やして、時には一緒に買い物に出かけたりと家族同然の接し方に。
すると大坂なおみにある変化が現れる事に。
茂木奈津子「試合前に自分がちょっと緊張しているとか、何か不安がある時にそれを素直にみんなの前で話すようになったので。みんなで全部共有するようになったのは本当に成長と言うか変化だなと思います。」
2021年全豪オープンの記者会見でも、
大坂なおみ「チームに本当の自分を見せる事は無かったけど、今では本音で話すようにしていて、そうする事で気分も良くて。」
メンタルコーチからのトレーニングというよりも、チーム同士が頻繁にコミュニケーションを取り合う事でチーム一丸となって戦う事でメンタル面が改善されたという事ですよね。
スポンサーリンクフィジカルトレーナー中村豊
チームなおみのコーチ陣は年間220日以上とほぼ全てのツアーに帯同。
そして2020年6月からトレーナーに就任しているのがフィジカルトレーナーの中村豊。
かつてはマリア・シャラポワのトレーナーも務めていた中村豊が大坂なおみに課したトレーニングはまず「弱点克服」が第一。
中村豊「守備力に関して動きの幅がもう少し精度が上がって、動きの幅がもう少し広がれば引き出しが多くなる。」
大坂なおみの弱点の一つと言われていたのが守備力。相手の角度のついたショットや威力のあるパワーショットに対してこらえ切れずにミスをしてしまうといういわゆるフォーストエラーの問題。
特に世界ランク1位クラスの超一流のトッププレーヤーは左右に振り回されてもボールに追いつき、なおかつ簡単にチャンスボールを相手に献上しない固い守備力がポイント。
その点、大坂なおみの場合はフットワークが追い付かず、厳しいシチュエーションであっさり失点。
この弱点克服の為に中村豊と共に大坂なおみが取り組んだのが徹底した体幹トレーニング。
バランスボールを使ったツイスト。
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さらにランダムにボール出しをしてもらってそれをキャッチするテニスでは定番のフットワークトレーニング。
中村豊「切り返しだったり、リカバリーであったり動きに幅が出てきているので、かなり敏捷性、反応が良くなって来てなと思ってますし、楽しみにしています。」
すると中村豊のトレーナー就任からわずか3ヶ月で、それまでの努力が全てが合致したかのように自身2度目となる全米オープン制覇。
2021年全豪オープンではミスをしても逆に笑顔で前を向くポジティブな姿勢も見られるように。
中村豊「チーム一丸となって、あとは彼女自身が考える力というのが出てきていますし、彼女のキャリアの中でピーキングにも差し掛かっていますので、それなりの自覚も出てきていると思います。」
茂木奈津子「気持ちの修正もだし、あとは泣きたくなっちゃうようなプレーも無いし。だからプレーが良くなってるからそこそこの状況まで追い込まれなくなったんですよね。多分。本当に成長しましたよね。そう思うと。笑」
大坂なおみ自身も2021年全豪オープンのセリーナ戦後の記者会見で、
大坂なおみ「(ブレークできなくても)それはそれで仕方がない(It is what it is.)と考えるようになりました。」
茂木奈津子「普段で使っててもそんなに耳に残るすごいフレーズではない。笑。ただあの会見の中ではあの試合の後で言った言葉なので意味深い一言になったんだと思います。」
確かに英語ネイティブはこのIt is what it is.を色んなシチュエーションで多用しますので、この表現=それはそれで仕方がないという意味だと固定して考えるのは間違っていますよね。例えばノーコメントと言う代わりにIt is what it is.を使う場面もありますしね。
大坂なおみのシチュエーションに立ち返ってみると、このコメントには「今の自分のプレーレベルならそのうちブレークできる」という心の余裕の裏返しも現れていますよね。
全豪オープン制覇後の記者会見では、
大坂なおみ「テニスは個人競技だと考える事が出来ません。私の周りには常に私と長い時間を過ごしてくれる人たちがいて、全て共にしてくれますし、仲間と全てを共有したいという思いが背後にあるからだと思います。」
以上「バースデイ」より大坂なおみコーチ陣の指導内容についてでした。