「ダンベル何キロ持てる?」アニメ第9話はローイング、握力、ボディビルコンテスト、バックエクステンション
話題の筋トレアニメ・漫画作品「ダンベル何キロ持てる?」第9話では背中のトレーニングとしてシーテッド・ローイングやバックエクステンションを紹介。ついでに握力(前腕)を鍛えるハンドグリップにも触れつつ、メインはボディビルコンテストの概要についてという内容。今回は様々なスポーツでも重要になって来る前腕筋肉群のトレーニング方法について厚めに補足。
※漫画版とアニメ版では登場する筋トレ知識について情報量に多少の差がありますのでその辺も一緒に補足しておきます。
スポンサーリンクシーテッド・ローイングの正しいやり方
漫画版では猫背の話題が出た後に背中を鍛えるメニューを教わるという流れですが、アニメ版だと唐突に背中のトレーニングからスタートという展開。
そこで紹介されたのがシーテッド・ローイングですね。※海外だとシンプルにシーテッド・ロー (seated row)と呼ばれるケースが多いです。
この筋トレメニューでは広背筋、大円筋、僧帽筋、菱形筋と背中の筋肉をバランスよく鍛えられるという解説の漫画版に対して、アニメ版だと脊柱起立筋といういわゆる背中下部(腰上部)も鍛えられるという解説。
さて、シーテッド・ローイングの正しいやり方についてですが、
- 背筋を伸ばして骨盤を立て、プレートに足を乗せる
- 肩甲骨を寄せるイメージでグリップを引く
- 肩甲骨を開くイメージでゆっくり戻す
- 1セット15回が基準
- 体が前後に倒れると力が逃げるチーティングになるので要注意
- ボートを漕ぐように体を前後させながら漕ぐ動きはNG
参考動画はコチラ。
作品中で指摘されていないポイントとしては「背中にアーチを作って胸を突き出すようなフォーム」がポイントですね。
ついでにボディビル界の最高峰大会、ミスター・オリンピアのタイトルホルダーにもご登場願いましょう。
8回の優勝を誇るロニー・コールマンのシーテッド・ロー。
ロニー・コールマン曰く、広背筋下部にフォーカスを当ててトレーニングを行うとの事。
体を前後させるスイング動作もこの程度であれば許容範囲なんでしょう。本人も「ノースイング」と言っていますしね。
広背筋下部や脊柱起立筋の収縮を感じ取りながらというのが最も大事なポイントです。
ロニー・コールマンによると15回からスタートして、重量を上げながらレップ数は10~12回に減らしつつ合計3セット。
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続けてバック・エクステンションの正しいやり方についても。
器具を使わない宅トレの一環としての紹介ですね。
シーテッド・ローの代替トレという位置づけでもあります。
そのやり方は、
- うつ伏せの状態から背筋を反らせて上半身を伸ばす
- 息を吐きながら上半身だけではなくお尻も締めて下半身も上げる
- 息を吸いながら元に戻す
床で行う背筋運動といえば一番定番の筋トレかもしれませんね。
手の位置は後頭部で組むか、耳の横でOK。
無理に反り過ぎると腰を痛める為、要注意。
コチラが参考動画。
背筋を鍛えれば猫背、肩こり、頭痛の改善や予防にもつながるという解説もついていましたが、運動によって頭痛の症状が出るというケースもありますので心当たりのある方は要注意。
詳しくはコチラの記事で。
なお、シーテッド・ローの代替トレという事で紹介されたこのバック・エクステンションですが、実際には背骨に沿った脊柱起立筋や大臀筋、ハムストリングスの関与が主なので、広背筋に代表されるようないわゆる背中のトレーニングという意味ではちょっと不足するでしょうね。
腰周りのトレーニングという理解のほうがより正しいと思います。
ハンドグリップ(握力)トレーニング
第9話ではトレーナーの街雄鳴造のボディビルの師匠としてハーンノルド・ドゲゲンチョネッガーなる人物が登場。
元ネタは言わずもがなですが、アーノルド・シュワルツェネッガーですねw ※作品中では別人としてシュワちゃんも存在しているという設定ですが
そこで久しぶりに会った街雄鳴造の筋肉道をチェックするという名目で話題に挙がったのがハンドグリップ(ハンドグリッパー)。
握力を鍛える器具としてはメジャーな存在で、その簡素な造りも幸いして軽い負荷のものであれば今や100円ショップでも売られていたり。
男が憧れるたくましい前腕部を目指すために手軽に導入出来るのでトレーニング事始めとしてオススメ出来ますね。
さらに女性の場合も日常生活で意外と役立つので握力を鍛えておいて損はありません。
まずはハンドグリップの強度の設定の仕方ですが、他の筋トレメニュー同様に弱すぎても、強すぎてもNGです。
ポイントは10~15回を閉じられるレベルのものを用意する事。
ちなみに日本人20代男女の握力の平均は男性で約46kg、女性で約28kgというデータ。
大抵はハンドグリップの売り場でテスターやサンプルとして自由に使える見本が展示されているはずなので実際に握ってみてから購入するようにしましょう。
またはダイヤル式などで負荷を調整できる機構が付いたものもあり、トレーニング初期のビギナーから長く使えますのでそちらもオススメ。
スポンサーリンクまた、同じハンドグリップでも持ち手を逆にする事で楽に閉じられるようになりますが、グリップの仕方によって使い分けるのもポイント。
前腕部も部位によって細かく分かれていますが、逆に持つことで親指側の筋肉が多く使われますね。
参考動画。
動画では10回1セットを基準にしていますね。
使い方は非常にシンプルでハンドグリップを軽く握った状態からグッと力を込めてグリッパーを閉じて行くだけ。閉じ切ったらもとにゆっくり戻していきます。
15~20回繰り返して合計3セット行うのが基準。
さらにレベルアップするためには片手で握れないグリッパーを両手を使って無理やり閉じた後に、片手で握り直してゆっくり開いていくフェイズのみ行うという方法もあります。
これはネガティブレップというトレーニング方法と同じアプローチですね。動画内では6秒かけて開いていく方法が紹介されていますね。
コチラの記事ではレップスピードに触れていますが、そこで補足してありますのでご参照ください。
握力を鍛えるのは前腕部を鍛えるのと同じような意味に捉えられ、握力の強さは基本的に前腕部の発達具合と強く関連していると研究でも明らかになっています。
ボディビルとは別としてスポーツをされる方にとっても前腕部は鍛えておいて損は無い部分。
特に野球、ゴルフ、テニスなどの用具を握って行うグリップスポーツでは下半身など体幹部を中心に作り出したパワーが最終的には前腕部に行きついて力を発揮する形になりますので、もし前腕部が弱いと全て台無しになってしまうんですね。
スクワットなどで強烈な下半身を誇っていても、前腕部の弱さがたたって会心の当たりでもホームランが打てない、ドライバーの飛距離が200ヤードも飛ばない、サービスのスピードが大したことないなんて事になるのはもったいない話。※もっともスクワットに熱心に取り組んでいる人が上半身を無視するとは思えませんがw
また前腕部(握力)の強化は他の筋トレにも恩恵は大で、特に高重量を扱うデッドリフトでは先にグリップ力が低下する事で、下腿部の筋肉が披露する前に早めに手の方が限界を迎えてしまうなんて事もありますのでキッチリ鍛えておきたい部分。
魅せる体という意味では、実は一番日常生活で人の目に触れると言っても過言ではないのが前腕部だったりしますしね。電車で吊り革を握る際にゴツい前腕をしていると一目置かれること請け合いです。
ハンドグリップ以外のバーベルやダンベルを使った前腕のトレーニングについてはコチラの動画で。
特にリストカール、リバースカール、体の後ろにバーベルを回した状態で行うバーベル・リスト・カール、重いモノを2つ持った状態で歩くファーマーズ・キャリーは特にオススメのメニューで研究データでも非常に有効だと証明されていますね。
スポンサーリンクCoCグリッパー
ハンドグリップの話をする時はこの「CoCグリッパー (キャプテンズ・オブ・クラッシュ・グリッパーズ)」を無視するわけには行きません。
作品中でハーンノルド・ドゲゲンチョネッガーが街雄鳴造に閉じて見せろとハンドグリップを渡した際には「そのグリッパーは、世界で三番目の強度を誇る代物。それを片手で閉じられるものは、全世界で約100名。」と語っていますが、実在する代物なんですね。
強度によって番号が振られていて、強度が上がるにつれて番号が増えて行きます世界で三番目となるとNo. 3が該当します。
その強度は280ポンド。キログラム換算だと127kgという数値にも及びます。
アイアンマインド社が販売しているこのCoCグリッパーですが、1991年から認定制度をスタートさせていて、No. 3以上を閉じると社から公式認定される仕組みが整備されています。
wikipediaの情報では世界中に100人以上認定されているとされていますがコレは古い情報で、実際はどんどん数が増えていますので2019年現在では270人以上が認定取得になっています。
ちなみに世界で二番目の強度のNo. 3.5 (握力322.5ポンド、146kg程度)は2019年現在で認定者17名。
世界一の強度を誇るNo. 4 (握力365ポンド、165.5kgもしくは166kg程度)は2019年現在で認定者がわずか5名となっています。
2004年に認定されているマグナス・サミュエルソン (Magnus Samuelsson)の動画がコチラ。世界屈指の怪力王として各国の大会でその名を残すビッグネームですね。
全盛期は2m、150kgというスーパーサイズから繰り出される強烈な怪力ぶり。
ちなみにCoC No.3と見られるハンドグリッパーを握りつぶしてしまった街雄鳴造は一体どんな握力をしているんだかw
また、漫画版だとみたらし団子のような見た目のグリップでしたが、アニメ版だと割と実物に近い形状になっていたのは大人の事情的な所なんでしょうか。
スポンサーリンクボディビルコンテスト
そんなこんなでハーンノルド・ドゲゲンチョネッガーに言われるがままにボディビルコンテストに出場する事になった街雄鳴造。
コンテスト名はハーンノルド・クラシックとなっていましたが元ネタはアーノルド・クラシックですね。
アーノルド・スポーツ・フェスティバル内の目玉イベントとしての位置づけですが大会規模としては前述のミスターオリンピアに次ぐ権威を持つ筋肉界有数の一大イベント。
ちなみにアーノルド・クラシックは地域大会も開催されていてアーノルド・クラシック・ヨーロッパ大会やアーノルド・クラシック・アジア大会などもありますね。
劇中ではフィジーク (physique)とボディビルの部門の違いについて語られていたりでしたが、
コチラが2019年アーノルド・クラシック、フィジーク部門のトップ6動画。
逆三角形の上半身が特徴で、その他に髪型や容姿、立ち居振る舞い、サーフパンツのデザインなども審査基準。ビーチでどれだけカッコよくいられるかを競うのがフィジーク。
体の逆三角形を強調する為に腹筋は無理にサイズを大きくせずに引き締まったイメージを強調するのがポイントですね。とは言っても一般の感覚からすると十分化け物的な腹筋をしていますけどねw
また、重要なポイントとしては下半身についてはほぼ無視されているという事。下腿部はサーフパンツで隠れていますよね。
ポージングの種類はフロントとバックの2種類で非常にシンプル。
そしてコチラがボディビル部門のプレジャッジの様子。
規定のポージングは、
- フロント・ダブル・バイセプス
- フロント・ラット・スプレッド
- サイドチェスト
- バック・ダブル・バイセプス
- バック・ラット・スプレッド
- サイドトライセプス
- アブドミナル&サイ(ズ)
- モストマスキュラー
一番盛り上がるのはやっぱりモストマスキュラーですが、大会によっては採用されないパターンもあります。
「気持ち悪いレベルの筋肉だな~・・・」と何となく眺めるのでもいいですが、各選手によってポージングに微妙な差異があるポイントにも注目。実は世界トップレベルになっても意外と規定のポージングを外してアレンジするパターンがあったり。
せっかく強烈な体をしていてもポージングが規定に沿ったものでないという理由で採点が下がってしまう事も多々あります。
また、ポージングを取る前の各選手の準備の仕草も注目ポイント。
上腕を十分に収縮させといてから大胸筋をグッと上に持ち上げながらのフロント・ラット・スプレッドだったり。
「ダンベル何キロ持てる?」の劇中で最も多く登場するであろうサイドチェストでは、アキレス腱伸ばしのような動きからスッと脚を前に運んで下半身のバルクとカットを見せつけ、上半身は一旦前で組んでおいてからグッと横に持って行って大胸筋と上腕を見せるという動き。
何もウエイトを扱っていない状態で筋肉を最大限収縮させる必要があるので、細かな筋肉から丁寧に力を入れて行って最終的にマックスを出すという所作が見て取れますよね。モストマスキュラーでも太ももをシェイクさせてから収縮させる動きは多くの選手が行う所作。
街雄鳴造が見せるサイドチェストは毎回スッとポージングを行っているのでアレはコンテスト用の動きではないですね。
隣の選手の前に入ろうと小競り合いをしたりなんて事はしょっちゅうあるので、これもコンテストが盛り上がる一つの要素として楽しみましょう。
そして大会の結果はこんな感じですね。
筋肉のサイズ、バルクはもちろんですが、深く刻まれたカットにも注目してもらいたいですね。皮下脂肪を極限まで削ぎ落して筋肉の上に辛うじて薄皮が一枚貼り付いているのが理想。
やはり1位になってくると筋肉の各部位が細かく分かれているのがはっきり分かるほどのディテール。筋肉の輪郭がハッキリ見て取れます。
そして左右の対称性もポイント。
そしてフリーポーズと呼ばれる演目では自らの選曲によって個人が好きなポージングを行うという一人舞台。セルフプロデュース力も問われますね。
2017年大会ではシュワちゃんが登場して自撮りをするなんて演出もw
スポンサーリンクさて、劇中では街雄鳴造が登場した途端に観客たちが「神を感じた」というシーンが出てきますが、
2009年のミスター・オリンピアでジェイ・カトラー (Jay Cutler)が披露したストンプが有名かもしれません。神が舞い降りるのが1:54動画付近。
左足を踏みつけた瞬間にガッと浮き出る大腿四頭筋の細かなディテール。あそこまでカットがつくものなのかと思わず息をのみますね。
ボディビルとドーピング
先ほど例に挙げたような体に仕上げる為にはステロイド剤無しには語れない部分があるので今回はその辺の話題を少し。
ステロイドと一口に言っても、実際はステロイドサイクルと言って複数のステロイド剤や成長ホルモン、副作用による内臓のダメージを抑える薬などを組み合わせたり、オフシーズンとコンテスト期によって使用する薬の種類を変えたりと細かなアレンジをしながら体を作って行くのがスタンダード。
トッププロになると医師のメディカルチェックなどを細かに行って一応、安全に気を付けながらステロイド剤を使うというアプローチ。
勘違いされがちですがステロイドはドーピングの一種として罪のように感じる人もいるかもしれませんが、決して法律によって禁じられた違法薬物では無いので使う分には基本的に合法です。※国によっては“スポーツ選手”や奨学金をもらっている学生がドーピングをすると犯罪として扱われる法律を制定している場合もあります
こういった事もあるのでボディビル大会によっては薬物の使用をNGにしているナチュラル・ボディビルという世界も存在します。
コチラの動画はドラッグフリーをアピールしている大会 California Natural Mucle Mayhem (カリフォルニア・ナチュラル・マッスル・メイヘム)。
これでも十分デカいですよね。
第9話のエンディングに登場したのは既に紹介済みのバック・エクステンションなので今回は省略。
ということで「ダンベル何キロ持てる?」から第9話「神を見たことある?」に登場した筋肉知識を総まとめ&補足情報についての紹介でした。
「ダンベル何キロ持てる?」の筋トレ知識検証記事はコチラ
コチラの記事も