アカペラのそもそもの意味は?語源は英語ではなくイタリア語?チコちゃんに叱られる
21年9月11日放送のNHK「チコちゃんに叱られる!」で出題されたのは『アカペラってどういう意味?』という語源に関する問題。当然ながらアカペラとは音楽や伴奏なしで歌う事を指しますが、そもそもアカペラの言葉が持つ意味はイタリア語で「教会で」という意味の”a cappella”。英語だと”at chapel”と訳されるわけですが、この言葉の誕生には宗教音楽の歴史そのもののような長い歴史があったり。
スポンサーリンクゲスト出演者
【ゲスト】要潤、アンミカ
【VTRゲスト】ゴスペラーズ
アカペラってどういう意味?
2問目の指名は、
この中で一番、お歌が上手なステキな大人ってだーれ?
アピールするアンミカさんをよそに岡村さんが自ら回答者に名乗り。
アカペラの意味を問うチコちゃんと「音楽(伴奏)無しで歌う」と答える岡村さんのやり取りを踏まえて、
チコちゃんの疑問は、
アカペラってどういう意味?
「全然アカン薄っぺらい歌手気取ったヤツ」の略という答えですが、
チコちゃん「じゃあ岡村。たまには私と一緒に言ってみようか。いくわよ?せーの!ボーっと生きてんじゃねーよ!」
一緒に決め台詞を言うという初のパターン。
ここで何か思いついた様子のアンミカさんが口を開くと口元に正解マークとピヨピヨ音。
チコちゃん「つまんねーヤツだな~。」
先に口を挟んでいれば助け舟で岡村さんがチコっていたかもしれないのにタッチの差で残念でした。
VTRではゴスペラーズが登場して、アカペラの意味を聞かれますが、流石に余裕のチコりで出張用チコちゃんからも「つまんねーヤツだな~。」
「ゴスペラーズですよ?」「間違ったらクビになるかもしれない。笑」「つまんなくていいです。私たちは。」と沽券にかかわる問題だったようで。
というわけでチコちゃんの答えは、
「教会で」
解説は国際基督教大学の佐藤望教授。
アカペラとは「a cappella」というイタリア語が語源で、英語にすると「at chapel」。
つまり日本語にすると「教会で」というのが元々の意味。カペラはイタリア語で教会という意味なんですね。
教会で歌われる歌といえばやはり聖歌が真っ先に結びつくわけで、
例えば伝統的な聖歌の一つであるグレゴリオ聖歌は8世紀ごろから歌われ続けていて、伴奏なしのシンプルな構成。
グレゴリオ聖歌は基本的に1つのメロディーのみで進行していて、その理由は今のような楽譜が無かったからと佐藤先生。
楽譜が無いので歌は直接歌って伝える口伝によって継承するしか方法が無く、そうなるとシンプルな歌になるのは当然。
これが14世紀に入ると現在のような五線譜の楽譜が普及し始め、作曲家たちは複雑な聖歌を作るように変化。
1つのメロディーだった聖歌は2つ以上のパートに分かれて、1つのハーモニーを作る合唱へと進化し、このようなスタイルの音楽は複数という意味の「ポリ」と響きを表す「フォニー」で合わせて「ポリフォニー」と呼ばれ、この時代に大流行したとか。
14世紀以降は次々とポリフォニー音楽が作られ、聖歌は沢山のパートに分けられた複雑なハーモニーへと変わっていき、遂にはトマス・タリス作曲『我、汝の他に望みなし』のような40のパートが別々のメロディーで歌われるといったスケールの曲も登場したり。
こうなるともはや何を歌っているのか分からない、歌詞も聞き取れない複雑すぎる音楽に。
こういった複雑化の一途をたどるトレンドはどんどんエスカレートしていって、15世紀末になると聖歌に楽器の伴奏を積極的に取り入れられ、こうなって来ると当初のシンプルな聖歌とはかけ離れた音楽に。
スポンサーリンクところが16世紀になるとドイツのマルティン・ルターらによる宗教改革によって聖歌は大きな転機を迎える事に。
宗教改革とは後のプロテスタントによるローマ教皇庁に異議を唱える運動でキリスト教は巡る環境は混沌。
これを収束させる為にローマ教皇のパウルス3世はトリエント公会議を開きますが、その会議では「聖歌は祈りの音楽であり、複雑で歌詞が分からないものはもはや聖歌とは言えないのでは?」と疑問が呈される事になり、
その結果、「聖歌は楽器を使わずにシンプルにすべし」という聖歌のルールが決まったとか。
この時のトリエント公会議で決まった内容を忠実に守ったのが教会音楽の父と呼ばれるイタリアの作曲家、パレストリーナ。
パレストリーナの音楽は歌詞が聞き取りやすいようにシンプルでありながらも美しいハーモニーを持っていて、これがアカペラの原点に。
パレストリーナ作曲『デ・プロフォンディス』をゴスペラーズの皆さんに歌ってもらいその歌声に聴き入っていたのも束の間、
聖歌を巡る環境はまたしても混乱期へ。
トリエント公会議を開いたローマ教皇に対立する形でベネチアでは会議の決定事項を無視して楽器などを取り入れた聖歌を作り続ける事に。
これに対して19世紀になるとドイツでセシリア運動が起こって乱れた教会音楽を正す動きが活発化して楽器を排除する流れに。
ここで再び脚光を浴びたのがくだんのパレストリーナ。
パレストリーナの音楽はトリエント公会議の内容を忠実に守って「無伴奏」の聖歌を基本にしていたという事もあって「これこそが教会(カペラ)にふさわしい音楽」、つまり無伴奏の聖歌=アカペラという考えが徐々に広まったと佐藤先生。
パレストリーナの音楽に聖歌の理想を求めたドイツの人々は無伴奏の聖歌をドイツ語では無くあえてイタリア語の「ア・カペラ(教会で)」と呼び始め、これが後々世界に広まった事で20世紀になるとアメリカで神に祈り合唱するゴスペルが誕生し、楽器を持たない声だけのパフォーマンスがストリートで流行。
ゴスペルの代表曲といわれる『Oh Happy Day』やゴスペラーズの代表曲『ひとり』をゴスペラーズの皆さんにパフォーマンスしていただいた所でまとめ。
アカペラはこうした時代を経て宗教とは関係なく、無伴奏で歌うジャンルを広く指す言葉になって今に至るというわけで、コチラが結論。
アカペラの意味は教会で
でした。
教会で歌い上げたい曲は?というゴスペラーズからの質問には「平井堅」とチコちゃん。
というわけで2問目は以上。
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