睡眠休養感とは?質の良い睡眠を生む3つの快眠スイッチ
22年7月18日放送のNHK「きょうの健康」では目覚めたときによく寝たなと感じる”睡眠休養感”を特集。睡眠の質の上げ方や3つの快眠スイッチなど番組内容をまとめてご紹介。
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睡眠休養感と死亡リスク
解説は国立精神・神経医療研究センターの栗山健一先生。
睡眠休養感とは”睡眠の質”を示す一つの指標で、
端的に言えば朝目覚めた時に感じる「よく眠れた。」と感じる感覚の事。
確かに長く眠ったはずなのに朝起きた時にけだるさを感じる日や、一方で睡眠時間が短かったのに割とスッキリ起きられる日などまちまちだったりしますよね。
これは布団に入って寝る姿勢を作ってから実際に眠るまでのいわゆる寝つきの良さ・悪さや、夜中に無自覚のうちに目を覚ます中途覚醒なども関係。
このように寝る姿勢になってはいるものの実は起きている時間を「床上時間」、
実際に眠っている時間の事を「睡眠時間」と2種類に分けて見てみると、
働き盛り世代では実際の睡眠時間が6時間以下と少なく、かつ睡眠休養感も低いと死亡リスクが1.54倍に上がり、
一方で7時間以上の睡眠時間さえとれていれば睡眠休養感が高かろうが低かろうがどちらも死亡リスクは同程度という結果に。
つまり若いうちはとりあえず睡眠時間さえ確保しておけばOKという事が成り立つわけですが、これが高齢者になると状況は一変。
高齢者では床上時間が長くなればなるほど睡眠休養感のある・無しが死亡リスクアップに大きく関係しているという結果に。
長い時間布団に入っているのにあまり寝た感じがしないという方は死亡リスク1.57倍で要注意というわけですね。
このデータを基にすればおおよそ60歳を過ぎてくると6時間睡眠で十分眠れているわけで、
この上で「もっと寝ていたい。もっと寝なきゃ。」という思いから横になっている時間をむやみに長くするだけだと睡眠休養感に悪い影響が出てしまい、かえって死亡リスクを高めてしまうと栗山先生。
これは「横になっている時間が長い=日中の活動量が低下する」という状況が関係しているようで、昼間あまり何もしていないのに無理に夜寝ようとしても中途半端な眠りになりやすくて結果的に睡眠の質が落ちてしまうという可能性が考えられるとか。
とにかく睡眠時間を長くとれば良いというのは高齢者には当てはまらないというわけですね。
栗山先生「積極的に寝る時間を短くしていく工夫をする必要があると思います。」
特に若い頃にバリバリ働いていた人ほど、歳をとった時に「とにかく長く寝なきゃ。」という思いに囚われやすく睡眠時間を闇雲に長くしがちと栗山先生の指摘。
それではそんな睡眠休養感を高めて質の良い睡眠をとるためには何が必要なのか?次の項目で見ていく事にしましょう。
3つの快眠スイッチ
ポイントは3つ、
- 副交感神経
- 体内時計
- 眠れないことへの焦り
【副交感神経】
寝る前の入浴によってリラックス状態を表す副交感神経にスイッチを入れると、
血圧・脈拍数が下がり、呼吸数も穏やかになりスムーズな眠りに繋がるとの事。
ただし、寝る直前に熱い湯に入ってしまうと体が興奮して交感神経にスイッチが入ってしまうので寝る90分前に40度設定のお風呂に15分浸かるのがおすすめ。
また、眠る直前はゆったりした時間として穏やかな音楽を聴く、アロマをたく、読書などで過ごすのが有効。
スマホ、タブレット、テレビなどの液晶画面からは交感神経を刺激するブルーライトが出ていますし、寝る前の光刺激も睡眠の質に悪影響を及ぼすので明るい光はNG。
【体内時計】
起床後に太陽の光を浴びたり軽い散歩に出かけるのは良い快眠スイッチに。
太陽光を浴びる事で14~16時間後に睡眠をとる体勢に体が自然と移行していくといわれているので、朝の光で起きるスイッチと共に寝るスイッチも入れられるというわけですね。
また、軽い運動は安定した眠りに繋がるのでウォーキングなどは是非取り入れたい習慣。
日中の活動量が睡眠の質を高めるので、昼間はしっかり動いて夜はしっかり休むというメリハリが重要。
日によって起床時間にズレが生じると体内時計の乱れに繋がるので、日々の起床時間は2時間以内の差に収まるようにした方が良いと栗山先生。
それでも睡眠時間を確保したいという場合は、朝の光を浴びた上で昼間に1時間以内(出来れば30分ほど)の昼寝をして夜に備えるのが良いとの事。
【眠れない焦り】
不眠に悩んでいる人は眠ろうと頑張る事がストレスになってしまい、
「8時間寝ないとダメ。」「毎晩ぐっすり寝ないとダメ。」「眠れないと明日動けなくなる。」
といった思い込みがどんどん膨らんでかえって眠れなくなりがち。
この場合は夜を楽しく、眠りに囚われすぎない精神状態が大事との事。
以上まとめでした。