下着もズボンもパンツなのはなぜ？イギリスとアメリカでは？チコちゃん
25年1月31日放送の「チコちゃんに叱られる」の問題『なぜ下着もズボンもパンツという？』の答えなどまとめてご紹介。イギリスとアメリカで生まれた呼び名の違いと日本との関係とは？
ゲスト出演者
【ゲスト】ディーン・フジオカ、みりちゃむ
【VTRゲスト】なし
下着もズボンもパンツというのはなぜ？
2問目の出題は、
なんで下着もズボンもパンツって言うの？
チコちゃんの答えは、
イギリスのパンツとアメリカのパンツだから
解説は服飾史研究家の辻元よしふみさん。
下着のパンツは「イギリス」から、ズボンのパンツは「アメリカ」から入って来た言葉というのが両者の違いで、その起源は17世紀ごろのフランスまで遡る長いお話。
この時代のフランスでは主に貴族はキュロットと呼ばれる半ズボンを穿き、労働者である市民はパンタロンと呼ばれる長ズボンを穿いていましたが18世紀末のフランス革命で階級社会が一気に崩壊すると、それまで市民が穿いていた長ズボンのパンタロンの方が主流に。
そこでフランスではズボン全般の事をパンタロンと呼ぶようになり、この文化はイギリスにも伝わりましたが、イギリスではピタッとした細身のパンタロンとゆるめの太いパンタロンを別々に表現するようになって、太い方をトラウザーズと呼んで区別。
その後イギリスではパンタロンが不人気になった事でトラウザーズが主流となり、やがてズボン全般をトラウザーズと呼ぶように統一。
パンタロンはピチピチなので下着は穿かずに直接肌の上に穿いていましたが、トラウザーズはゆとりのあるパンツなので下着を穿くようになったというのもポイントで、こうして生まれた下着を「まるでパンタロンのように肌の上に直接穿く」という意味でパンタロンズ(Pantaloons)を略してパンツ(Pants)と呼ぶようになり、今でもイギリスでは下着はパンツ、外側のズボンはトラウザーズと呼ぶのが一般的に。
スポンサーリンク一方で18世紀末のアメリカではイギリスの流行に影響される形で、このパンツ、トラウザーズという言葉と文化がアメリカへ伝わることに。
ところがアメリカではトラウザーズという言葉が長い、ダサい、堅苦しいと敬遠されてアメリカではズボン全般を指してパンツと呼び、パンツの下に穿くので下着をアンダーパンツと呼んで区別するように。
こうしてイギリスやアメリカではズボンと下着は区別されているわけですが、これが日本になるとごちゃ混ぜに。
そもそも日本使われているズボンという言葉は明治時代に生まれた言葉で、諸説あるものの幕末に来日したフランス軍が下着を意味する「ジュポン」という単語を持ち込んで、これが転じてズボンになったという説。
幕末の日本男児はふんどしを下着として着用していたので、二股に分かれた下着に馴染みが無く、下着の事ではなく二股の服は全てズボンと呼ぶと勘違い。
その後、イギリスから下着を意味するパンツという言葉が日本に伝わり、日本では上にズボンを穿いて下に下着のパンツを穿くという関係性が確立。
ところが1980年代になると日本でアメリカンファッションが流行して、アメリカからズボンを意味するパンツが入って来て、アパレル業界では突如としてズボンを指してパンツと呼ぶように変化。
確かに今ではズボンというと何だか古臭くてダサい感じがするものですが、このようにイギリスとアメリカの呼び方のどちらも日本では取り入れてしまったので今では割とややこしい事態に。
このズボン・パンツ問題以外にもファッション業界で使われる用語はややこしいものが多く、
ゆるいズボンでウエスト部分にタックと呼ばれるヒダが入るのが本来のスラックスですが、現在アメリカではズボン全般をスラックスと呼ぶように。
ジーンズは一般的にリベットという金具をポケットに打ったデニム生地のズボンを指す言葉で日本ではGパンと呼んだり。ジーンズは戦後まもなくというタイミングで日本に入って来たようで当時アメリカ兵がGovernment Issueの略でG.I.と呼ばれており、そのG.I.が持ち込んだのでGパンという名称になったと辻元先生の見解。
他にもフレアパンツは膝下から裾にかけて広がる形を指し、その形からラッパズボンという別称も。
1970年代に世界的に流行したこのタイプのズボンはパンタロンと呼ばれたりしていましたが、そもそもパンタロンはフランスやイギリスで細身のズボンに対して使われていた言葉なので、かなりお門違いな使い方。なぜパンタロンという日本独自の呼び方が広まったのかは謎と辻元先生。
ちなみにフランスの長ズボンを指すパンタロンは16世紀にイタリアで始まった演劇「コメディア・デラルテ」に登場するパンタローネというキャラクターが穿いていたズボンが語源とか。
という事で2問目は以上。
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